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森川葵、不安や迷いはあっても「どんどん演技が好きになる」女優への決意

6/4(日) 6:50配信

クランクイン!

 あの豊臣秀吉を美しい生け花で諫めた花僧・池坊専好の姿を描いた映画『花戦さ』。主演の野村萬斎をはじめ、中井貴一や佐藤浩市ら実力派が名を連ねる出演者の中で、瑞々しい輝きを見せるのが、天才画家・れんに扮した森川葵だ。女優の道に進んでからは、不安から諦めの気持ちを抱いたこともあると明かす森川に、本作への思いや、女優としての生き方について話を聞いた。

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 脚本家の森下佳子に「年齢不詳な感じ」が気に入られ、年齢が設定されていないれん役に指名されたという森川は、「純粋にすごくうれしくて。これまでやってきていたことを、ちょっと種類は違いますけど、同じ世界の中できちんと見ていただいて、評価していただいている方がいたんだっていうことを、すごく感じました」とにっこり。

 しかし、歴史上でオリジナルの存在を演じることには不安を感じたとのこと。「他のキャストの方々は歴史上に実在した人物を演じているんですが、自分だけは後から追加されたキャラクター。なので、人物というよりはキャラクターという感じが強くて、その中でどうやって混ざっていけばいいのかはすごく不安だったんです」。

 そんな森川の意識を変えたのは、専好役の萬斎をはじめとする共演者たちの演技だった。「萬斎さんも歴史上の人物を意識して演じているわけではなくて、その時代を生きていた人という感じで、自由に演じてらっしゃったんです。なので、『どうやって入っていったらいいんだろう?』とは深く考えすぎずに、自然と入っていけたような気がします」。

 普段はイラストなどを描くことが多いという森川。独特な絵を描くれんになり切れたと実感した瞬間には、意外なことが起こった。「自分で買った筆と紙で、絵を描いていたんですよ。そうしたら、どう考えても普段の自分なら描かないような絵が出来上がったんです。その時は、『あ、私何かが憑いている!』という感じがしました(笑)」。


 劇中では、専好が「花を生けるのが楽しくなくなる」と涙ながらに語るシーンがある。実は森川にも、演技に後ろ向きな気持ちになってしまった経験があった。「2年位前までは、本当にこのお仕事で生きていくのかなっていう不安があったんです。安定しないお仕事なので、心を決めきれなかったり。今はお仕事があるから、とりあえずこれをやっていればいいかなくらいの気持ちだったんです」。

 「仕事をする中で、どんどん演技を好きになっていく自分がありました。ただ、お仕事から見放されることもあるかもしれないという気持ちもあったので、すごくグラグラしていたんです」と不安を抱えていたことを明かす森川は、「『辞めるんだったら、早いうちに辞めてしまったほうがいい』とも考えたんですけど、やっぱり好きだから辞められなくて。続けたいって思ってしまって、今ここにいます(笑)」と胸中を語る。

 そうした不安や迷いは未だに拭いきれないと苦笑する森川だが、「自分がやってみたいって思ったことだし、今こうしていろいろな作品に出させていただけているので、途中でダメになったとしても、そこから別のことをやり直せばいいし、頑張れるところまで、とりあえずやれるところまで、やってみたいなって思ってます」と前を見据える表情は明るい。良い意味で気負わない森川の柔軟な心は、本作で見せた演技にもポジティブに反映されている。内に抱える不安を、どう跳ね飛ばしていくのか。森川の女優道の今後に注目だ。(取材・文・写真:岸豊)

 映画『花戦さ』は全国公開中。