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日本で知った酒の味 オスマン・サンコン“山手線3周”の思い出

6/5(月) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 春の叙勲で「旭日双光章」を受章したタレントでギニア大使館補佐官のオスマン・サンコンさん(68)。1972年の来日以来、日本と母国ギニアの友好親善に尽力してきたことを評価されての栄誉だが、来日するまで意外にも酒とは無縁だった。

 ◇  ◇  ◇

 お酒? 大好きよ。週のうち半分以上は飲んでるから。「1コン、2コン、サンコン」は古いね。今は「イッコン(1献)、ニコン(2献)、サンゴウ(3合)、ギニアは4号(合)までOKよ」って言ってるくらい(笑い)。ギニアはムスリム(イスラム教徒)が多くて奥さんは4人までもらえるからね。

 でも、酒は日本に来るまで一滴も飲んだことなかったの。ギニアでは宗教上の理由に加えて、酒を飲むと生活がダラしなくなる人が多いから「酒飲みには娘を嫁にやらない」って家庭が多くて、今でも飲酒はタブー。

 仏ソルボンヌ大学に留学してる時もそう。フランスの学生はランチの時からワインを飲んでたけど、アフリカからの留学生はほとんどがムスリムなので無縁だったね。

■来日して23歳で「お酒デビュー」

 初来日は45年前、72年です。ギニアが日本に大使館を置くことになり、私は1等書記官として。それでお酒を知ったんだけど、すぐに飲みだしたワケじゃないよ。最初、レセプションやパーティーではオレンジジュース専門だったの。

 ところが、ある国の大使館員のホームパーティーに呼ばれ、たまたま間違えてビールを飲んじゃった。すごーく、苦かったね。「何、これ?」って思ってるうちに目がグルグル回り出した。初めてだから酔いが速かったんだね、きっと。でも、悪い感じはしなくてね。酔って楽しくなったから。

 その日は1杯だけだったけど、それがきっかけで飲むようになったの。23歳の時だから遅いお酒デビューね。「ムスリムなのにお酒飲んでいいの?」とよく聞かれます。禁酒のイメージがあるから。でも、信仰にはそれぞれの解釈があって「他人に迷惑をかけなければお酒OK」って思ってる。外交に、お酒はつきものだしね。

■「いいとも!」出演で仕事が増えて毎晩ハシゴ

 量や酒席が増えたのは84年に2度目の来日をしてタモリさん司会の「笑っていいとも!」に出演してからね。「1コン、2コン、サンコン」のギャグが大ウケして急にタレントの仕事が増えた。当時は景気が良かったから打ち合わせや打ち上げで毎晩ハシゴ。帰宅する頃にはもうベロベロ。何でも飲んだけど、吟醸酒とか冷酒のおいしさは格別だったね。口当たりがいいし、当時は30代半ばだったから水みたいにスイスイ。5合はザラで、その場の雰囲気で1升くらい空けたことも珍しくなかったよ。

 ロケとか講演会で全国へ行くのも楽しみね。どこへ行ってもおいしい地酒がいっぱいあって、ますます日本酒が好きになっちゃった。二日酔いで痛い目に遭ったのも数え切れないけど(笑い)。

 電車の乗り過ごしもよくしたね。冬に山手線を3周したのは今じゃ笑い話。座るとお尻がポカポカするもんだからついつい寝込んじゃった。3周だから3時間ほど。すっごく気持ちよかったよ。

 でもね、日本てすごい国だなって、改めて感心したね。足元に大事な書類を入れたビジネスバッグを置いたままだったのね。それなのに、3時間以上経ってても、ちゃんと足元にあったから。こんな国、他にはないよ。どこの国もバッグから手を離して寝ちゃったら、3分もしないうちに盗まれるね、絶対。今もそうだったらホント、日本て素晴らしい国だと思う。

 もうひとつ日本の良いところは、四季がはっきりしていて、季節ごとに違う食材があって、お料理もバラエティー豊かなこと。それに日本酒がすごく合うの。50歳すぎて翌日にお酒が残らないように麦焼酎を飲むようになったけど、焼酎も日本料理に合うでしょ? すごく贅沢ですよ。おいしい料理にうまい酒。高級でなくてもいいお店、たくさんあるからね。

 私の事務所は新橋なので、飲み屋街はサラリーマンばかり。仕事が終わればよく飲みに行くけど、隣同士、初めて会う人でも仲良くなれる。お酒が飲めるって本当に楽しいね。