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トランプ米大統領が離脱を表明した「パリ協定」とは?

6/5(月) 6:20配信

ZUU online

トランプ米大統領が6月1日に離脱を表明した「パリ協定」。世界第2位の二酸化炭素(C02)排出国である米国の離脱に参加国から動揺の声が上がっている。温暖化問題解決に向けた国際協調の枠組みが大きく揺らいでいる。

■「パリ協定」とは地球温暖化対策をまとめた国際協定

「パリ協定」とは2020年以降の地球温暖化対策をまとめた国際協定である。地球温暖化の問題が深刻となる中、対策には各国の協調が不可欠となる。2015年12月にパリで開催された第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択され、2016年11月に発効した。

従来の温暖化対策の枠組みは1997年に採択された「京都議定書」が担ってきた。「京都議定書」は温暖化対策で各国の協調を実現し、非常に意義のある物であったが、制度上の問題点も指摘されてきた。米国が不参加である点や、先進国には温暖化ガスの排出削減義務が課せられる一方、新興国には数値目標を課さないといった点等である。2020年に「京都議定書」の約束期間が終了する事を受け、ポスト京都として作られた枠組みが「パリ協定」である。

「パリ協定」は今世紀後半に温暖化ガス排出を実質ゼロにし、産業革命前と比較して世界の平均気温の上昇を2度未満に抑制、1.5度未満を目指す事を目標としており、2020年からの各国の温暖化ガス削減を促す。内容は「京都議定書」の反省を踏まえたものとなっている。温暖化対策には新興国の削減も不可欠という立場に基づき、新興国を含め、協定参加国全てが自国で削減目標を策定する事となっている。

一方で、「京都議定書」では先進国の削減は義務とされていたが、「パリ協定」では削減は目標とされ、表現が弱められている。「京都議定書」で米国が離脱した事の反省を受け、参加国最大化を目指し、強い表現を避けた。米国を含め195カ国が署名した非常に重要な国際協定である。

■「パリ協定」離脱が与える影響

温暖化対策の為、各国の足並みが揃い始めた矢先、米国は「パリ協定」からの離脱を表明した。トランプ大統領は大統領選で「パリ協定」からの離脱を選挙公約としており、公約実現を果たした格好だ。トランプ大統領は各国の削減目標が申告制である事や、オバマ前大統領が表明していた気候基金への30億ドルの拠出へ不満があったようである。

また、過度な温暖化対策は経済へ影響を及ぼす可能性があるとの見解も持っている。自国経済を最優先で考えるトランプ大統領にとって、「パリ協定」は負担になるとの判断であり、オバマ前大統領が築いたレガシーを解体する。

米国の「パリ協定」離脱が与える影響は大きい。2014年の米国のCO2排出量は世界全体の16%近くを占めており、中国に次ぐCO2排出大国である。その米国が離脱すると、温暖化対策の効果が十分に発揮出来なくなる可能性がある。また、国際協定からの離脱は悪しき前例となり、他の国際協定でも離脱国が出てくる可能性もある。

さらに米国からの資金拠出が見込めなければ、対策に必要な資金が十分に集まらない。各国が米国の「パリ協定」離脱へ懸念を表明する声明を出している事からも影響の大きさが分かる。

「パリ協定」離脱は表明したが、米国は今後も温暖化対策を続けていく。電気自動車等環境に配慮した製品に取り組んでいる企業も多く、環境対策を経営の一つの柱とおく場合もある。また、発電もシェールガスやLNG、再生可能エネルギー等が石炭の需要を奪っていくものと見られ、それに伴うCO2排出量の自然減が起こる可能性もある。

とはいえ、温暖化対策は世界各国の協調によってはじめて道が開けるものである。トランプ大統領は様々な政策で保護主義の側面を強めているが、世界中で保護主義の流れが強まってしまうと、温暖化対策は困難となる。温暖化対策と経済合理性は相容れないものである。温暖化対策へ国際協調の流れが途切れない事を期待したい。(ZUU online編集部)

最終更新:6/5(月) 6:20
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