ここから本文です

【インタビュー】上戸彩×斎藤工 撮影の「空白の期間」に意味が出た『昼顔』

6/5(月) 19:48配信

cinemacafe.net

ごく一般的な主婦が、ごく一般的な既婚男性と禁断の恋に落ちる――。2014年夏、平日昼間に夫以外の別の男性と恋に落ちる主婦のこと指す造語“平日昼顔妻”を描いた連続ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」が放送され、一大センセーションを巻き起こした。あれから3年、「昼顔」がビッグスクリーンへとスケールアップを遂げて帰ってくる。

この記事のほかの写真

紗和(上戸彩)は、夫と2人で平凡な毎日を送る主婦だった。ところが、パート先での車上荒らしの一件で高校の生物教師・北野裕一郎(斎藤工)と出会ったことから生活は一変する。お互い既婚者でありながら次第に惹かれ合い、遊びではない本物の愛を見出していく…。その結果、双方の家庭を巻き込み、紗和は離婚、裕一郎は妻の乃里子(伊藤歩)とやり直すという悲しい結末に。映画『昼顔』は、ドラマ放送終了からと同じ時を経た3年後の世界が舞台。運命に導かれ、再会を果たした2人を待ち受けるものとは…。


久々の復帰作として最高のタイミングで、上戸さんに映画『昼顔』のオファーが届いた。「プライベートでも仲の良い工くんや歩ちゃん、大好きな監督、信頼の置けるスタッフと再び一緒に働ける機会がめぐってきて、『これだ!』と思えたんです。すごくうれしかったですね」。上戸さんが「地元で一緒に育ったような同級生・身内感がある」と言うように、ドラマからの共演者である斎藤工や伊藤歩との強い絆は心の支えとなったようだ。映画の中ではドラマの悲しい結末から3年が経過しているが、実際の撮影における空白期間は2年。この日の取材には、デビュー当時を彷彿させる久々のショートヘアで登場した上戸さん。「紗和に戻るために髪型を(セミロングに)キープしてたんですけど」と女優魂をのぞかせたため、筆者が驚きの声を上げると「うそです(笑)」と笑い、斎藤さんから「うそか!」のツッコミが。とは言え、「ずっと紗和モードではあったのかもしれない」と2年間をふり返る。「映画が終わってバサッと切ったことで、切ったから何かが変わるわけではないけれど、徐々に紗和が剥がれていくような感じはしていますね」。

斎藤さんは『昼顔』の映画化にあたり、1955年の映画『浮雲』の世界観を意識したかったと語る。「世の中の、不貞に対する妙な盛り上がりの延長にこの映画があるのではなくて、さかのぼったところに答えがあるのかなと感じていました。自分の大好きな『浮雲』は、平たくとらえればいびつな(恋愛の)形なのかもしれないけど、その中で描かれる、人と人が惹かれ合うピュアな姿に感銘を受けました」。斎藤さんは、「60年経ってもなお色褪せない『浮雲』のように、数年後にも観てもらえる作品になれば…」と願望を明かした。上戸さんも、「台本が上がってきた時点で監督に『浮雲』のことを言っていたよね」と斎藤さんの『浮雲』への思い入れに理解を見せる。



映画『昼顔』では2人が厚い信頼を寄せる西谷監督による、連ドラのファンにとって懐かしい演出が至る所で挿入されている。必見は、裕一郎が紗和に向かって指先だけを“ちょいちょい”っと動かして手招きするあの独特な仕草。実は、“ちょいちょい手招き”は監督と2人にとって特別な仕草だそうだ。「あれは、連ドラが始まる前に監督がリハーサルをしたいとおっしゃって、3時間くらいかけて出来上がった動きなんです。連ドラでは私もやりましたけど、今回は北野先生だけ。監督が北野先生に伝授した、北野先生にしかできないものなんですよ。そう簡単にはできないよね?」と大笑いしながら斎藤さんに答えを求める上戸さん。斎藤さんは「はい」とうなずく。「僕特有の…いびつな形状なんです。僕って色々(笑)。それが織りなす奇跡のハーモニーなんです」といびつな自分と“ちょいちょい手招き”の秘話を教えてくれた。


監督のこだわりは登場人物のファッションにも色濃く反映されている。連ドラに映画にと、終始Tシャツにパンツなどのカジュアルスタイルに徹する紗和だが、今回は監督が色と形を吟味して映画用に作ってもらったというこだわり抜いた特別なファッションに身を包んでいるシーンがある。なぜ紗和のファッションにそのような大きな変化があるのか。物語を追ううちに、紗和の心情の変化とともにその答えを目の当たりにする。

靴紐を縦結びしかできない紗和に裕一郎が蝶結びを教え、2人が絆を“結んだ”ことを観客に印象付ける、紗和の定番アイテム・スニーカーに加え、海辺の町を舞台とした映画にはビーチサンダル姿の紗和も。「何足も履いて、歩く姿を監督に見ていただいて決めた」という上戸さん演じる紗和の足元にも要注目だ。ドラマで紗和と裕一郎をつなぐキーアイテムとなった裕一郎のメガネについては、斎藤さんから「残念ながら撮影までの2年間で同じ型のものが廃版になってしまって…」という裏話も。このように、紗和と同じく3年後の裕一郎にも、リニューアルされたメガネや山スタイルなど、連ドラでは見られなかったちょっとした装いの変化が見られるところにリアルさがある。上戸さんは裕一郎がかぶる「麦わら帽子もね!」との指摘も忘れない。

最後に、人気ドラマが3年の時を経て映画化されたことへの思いを2人に聞いた。「ドラマが盛り上がった直後の映画化ではなく、経過した時間が必要だった、その意味が出たという作品になっています」(斎藤さん)、「そういう、時の流れが映画にも生きています」(上戸さん)。

最終更新:6/6(火) 9:24
cinemacafe.net