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始まるか? コンビニ大手の「焼き鳥戦争」

6/5(月) 15:49配信

ITmedia ビジネスオンライン

 ファミリーマートは6月5日、レジ横のホットスナック売り場を強化し、新商品の「焼き鳥」と看板商品の「ファミチキ」を積極的に売り出す施策を発表した。さらにCMやキャンペーンの方針も変更し、ファミリーマートのブランド力向上を狙う。伸びる中食市場を背景に過熱しているコンビニの総菜戦争。焼き鳥を巡る戦いも激化しそうだ。

【成長している中食市場。ファミリーマートのシェアは……】

●レジ横に「商店街」中食市場を狙う“焼き鳥戦争”

 これまでファミリーマートはPB(プライベートブランド)について、全体的に底上げを図る戦略をとってきた。だが今後は、年間億単位で売れるような「SランクPB商品」を作り、その商品を中心にテレビCMを投入し徹底訴求する集中型に転換する。

 まずSランク商品として押し出すのは、看板商品の「ファミチキ」と、サークルKサンクス(CKS)で好調だった「焼き鳥」だ。ファミチキは新たなフレーバーを投入、焼き鳥はCKSの商品と大きさはそのままで、味などをリニューアルしている。これらの総菜商品を、レジ横の「ファミ横商店街」と称した大型のケース内で展開する。

 ファミリーマートの澤田貴司社長は「ファミリーマートの中に商店街をつくり、揚げ物、焼き鳥、お総菜、中華まん、おでん……といろいろなものをレジの横に出現させるイメージ。どんどん新しい商品を作り、商店街で売っていく」と話す。

 こうした総菜強化の背景には、中食(コンビニやスーパーなどで弁当や総菜を購入し、家で食べる)市場の成長がある。2015年の中食市場は約9兆6000億円と、10年で2割以上の伸びを見せた(日本総菜協会調べ)。「CVSシェアを見ると、ファミリーマートは調理パンや調理麺ではシェア1位だが、約3兆円規模の一般総菜では総菜小売りとスーパーに次いで3位。まだまだ低く、シェアを獲得できていない」(澤田社長)という。

 レジ横で販売するチキン系の総菜は、コンビニ各社がヒット商品を持つ“激戦区”だ。セブンイレブンは「揚げ鳥」「からあげ棒」、ローソンは「からあげクン」、そしてファミリーマートは「ファミチキ」。さらに16年以降は、ローソンの「でか焼鳥」やセブンイレブンの「炭火やきとり」など、“焼き鳥戦争”も始まりつつある。

 CKSでは人気商品だった焼き鳥は、経営統合に伴い売り場から消えていた。「CKSからのオーナーの要望も非常に高かった」といい、CKSのノウハウを活用した焼き鳥を新看板商品として積極的に展開する。既存客層に加え、主婦層もターゲットとし、年間2億本の販売を目指すという。また、ファミチキも売上個数60%増を狙う。

 「ホットスナックの売り場は随時強化していき、てんぷらなども企画中。今後もSランク商品をきっちり作り、お客さまに伝えるべく、全社全チームで展開していく。総菜以外では、フラッペは非常にいい商品。もっと強化していきたいと考えている」(澤田社長)

●「ファミチキ先輩」CMシリーズ、値引きキャンペーン減

 広告や販促についても方針を変更する。

 これまでは、新商品や季節商品訴求型のテレビCMを放送していたファミリーマート。しかし、「広告が同質化している。ファミリーマートの特徴を出し、記憶に残るCMづくりをしたい」との課題意識があったという。

 そこで新CMはストーリー仕立てに。「29歳独身、ファミリーマートでバイト中」という設定でファミチキを擬人化した新キャラクター「ファミチキ先輩」の働く日々や日常を描いたシリーズを展開する。CMには実際にファミリーマートで働くスタッフも登場する。CM投下量は前年比約2倍を予定し、ブランド力向上を狙う。今後は同じシリーズの中で、新商品訴求やローカルCMの展開も検討中だ。

 また販促も、値引きを中心としたキャンペーンから、企画性を重視する。5月に発売した「黒幕引き丼」は、ファミチキ生みの親、上田準二元会長の引退に伴った企画。「デジタル×クリエイティブで、SNSなども活用しながら、面白い形で商品を世の中に生み出したい」という。

 これまでのキャンペーンは、取り付けなければならない販促物が大量に出ることにより、店舗の大きな負担になっていたという。キャンペーンを効果が高いものに絞り、販促物を減らすことで、現場の負担減にもつながると見込む。

 「労働力不足はコンビニ業界だけではなく社会全体の課題。オペレーションの簡素化とキャンペーン減で、現場の負担を半分にしたい。キャンペーンの数は具体的には言えないが、今期中には半分にしたい」(澤田社長)