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【巨人】再昇格を狙う吉川尚にとって、忘れられない5月9日

6/6(火) 14:03配信

スポーツ報知

 今週の「まるごと巨人」は、巨人ファーム担当の原島海記者の取材メモから、ドラフト1位・吉川尚輝内野手(22)=中京学院大=が胸に秘めるある思いを紹介する。ルーキーのプロでの活躍を誰よりも楽しみにしていたのが、昨年パーキンソン病のため他界した祖父だった。天国に明るいニュースを届けるため、再昇格を目指して必死にもがく日々を「見た」―。

 白球は一直線に左中間へと飛んだ。私は記者席から打球の行方を追っていたが、吉川尚の逆方向への強烈な打球に期待が膨らんだ。6月1日のイースタン・DeNA戦(横須賀)、8回2死二塁から適時三塁打。逆方向への長打に、ルーキーの成長を実感した。

 悩みながら前進し続けるドラ1の胸中には、祖父の存在がある。5月9日。それまでイースタンで打率1割8分7厘、0本塁打、5打点と打撃に苦心している中で、1軍に初昇格した。初昇格を伝えられた2日前の7日は、吉川尚にとって思い出深い日だった。ちょうど1年前、パーキンソン病のため亡くなった母方の祖父・平岩利夫さん(享年83)の命日だったのだ。初昇格して1軍に合流した9日は1年前、祖父の告別式の日だった。

 吉川尚の実家には、1つだけホームランボールがある。昨年5月9日に東海地区大学野球岐阜リーグ戦で初アーチを放ち、試合後、その足で祖父の告別式へと持って行ったものだ。母・陽子さんは「打つと約束していたみたいです。祖父も野球が好きで、あの子もおじいちゃん子でしたから。お見舞いの時は、よく自分のことが書かれた新聞記事を祖父に見せていました」と感慨深そうに話していた。「1軍でプロ初安打」を目標の一つに掲げていた背番号0自身も、プロでの記念球は実家に送ると決めていた。

 しかし、初めての1軍では、14日の広島戦(マツダ)で代打で二ゴロ。17日のヤクルト戦(東京D)では「7番・二塁」で初スタメンも4打数無安打。計5打数無安打で19日には出場選手登録抹消となった。目標としていた「初安打の記念球を実家に」は次回に持ち越し。それでも、天国の祖父に、巨人のユニホームで戦う元気な姿を届けていた。

 現在は、打撃フォームを見直しながら、再昇格を狙う日々を送っている。背番号0が理想として掲げる低く鋭い弾道を放てるようにとバットの軌道に意識を置いて試行錯誤を重ねている最中だ。前記した適時三塁打を放った際も「まだまだです。毎日、いろいろ変えながらやっていますから」と、良い結果や感触を自分の引き出しにしている。

 ドラ1は、1月に上半身のコンディション不良でキャンプ3軍スタートと、入団から壁にぶつかり続けてきた。しかし、そのたびに乗り越えてきた強さを持っている。苦労と成長を重ねるルーキーイヤーはまだ始まったばかり。天国で見守ってくれる祖父に今度こそ初ヒットを打つ姿を見せるため、日々奮闘している。

 ◆吉川 尚輝(よしかわ・なおき)1995年2月8日、岐阜・羽島市生まれ。22歳。小1で野球を始め、中学は羽島フジボーイズに所属。中京高では1年夏からレギュラーも、甲子園出場なし。中京学院大では東海地区大学リーグで2度の首位打者に輝き、16年6月の全日本大学野球選手権で優勝に貢献。1軍では今季、2試合に出場し、5打数無安打。177センチ、79キロ。右投左打。背番号0。年俸1500万円。

最終更新:6/6(火) 21:18
スポーツ報知