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冠動脈バイパス術や再生医療 虚血性心疾患の外科治療とは

6/5(月) 11:05配信

山陽新聞デジタル

 虚血性心疾患の外科治療について、心臓病センター榊原病院(岡山市)の坂口太一副院長に寄稿してもらった。

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 全身に血液を送り続けるポンプの役目をしている心臓の筋肉(心筋)を栄養する血管を「冠動脈」と呼びますが、その冠動脈が動脈硬化により狭くなり、心筋が血流不足になっておこる一連の病気を「虚血性心疾患」と言います。

 この「虚血性心疾患」は、冠動脈の狭窄(きょうさく)によって心筋が酸素不足になり、胸痛をおこす「狭心症」と、完全に詰まって心筋が壊死してしまう「心筋梗塞」の二つに大別されます。「狭心症」の段階では、心筋は血流不足になっているだけなので、治療によって血流が再開されれば正常の働きを取り戻すことができますが、「心筋梗塞」になると、壊死(えし)した心筋は血流を再開しても蘇(よみがえ)ることはありません。梗塞範囲が広くなると心臓全体のポンプ機能が低下し、「心不全」という状態になってしまいます。「狭心症」と「心筋梗塞」は、同じ原因で症状も似ていますが、事の重大性は大きく違うのです。

 虚血性心疾患の外科治療の目的は、(1)心筋の血流を改善し、狭心症の症状をなくしたり、将来の心筋梗塞を予防すること。(2)心筋梗塞によって弱った心臓のポンプ機能を改善し、心不全を予防すること。この二つに大別されます。

 前者のために行うのが、「冠動脈バイパス術」です。天皇陛下が受けられた治療として有名になりましたが、これは身体の別の部位から血管を採取して、冠動脈の狭窄部位を橋渡しするように吻合(ふんごう)し、血液の迂回路(うかいろ)(バイパス)をつくる手術です。わが国では人工心肺を使用せず、心臓を動かしたまま吻合する「オフポンプバイパス手術」が主流になっています。脳梗塞や出血のリスクを減らすことができるというのがその理由ですが、最近の研究では全ての患者にとってオフポンプ手術が最適というわけではなく、従来通り心臓を止める方が正確な手術が可能になり、良い結果をもたらす場合もあることが分かってきました。

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