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観る将棋ファンと棋士の幸せな関係“スイーツ王子”糸谷八段トークショーにファン大満足

6/5(月) 11:59配信

AbemaTIMES

 「観る将」という言葉を聞いたことがあるだろうか。まるで野球観戦のようにプロの対局を楽しんだり、棋士を応援したりする、いわゆる“観る将棋ファン”の略称で、ここ10年で急増したと言われている。そんな観る将の実態を探るべく、都内イベントに足を運んだ。

 5月30日、東京・四谷にある「ねこまど将棋教室」で行われたのは、「糸谷哲郎八段、関西若手棋士躍進の秘密を語る!」と題したトークショー。平日の午前10時開始にも関わらず、約20人の観客で満席。うち半数以上が女性客だった。

 受付をしていると、糸谷八段がおずおずとやってきて「紙皿をどうぞ」と渡してくれた。この日は糸谷八段オススメのスイーツが提供され、一緒に食べながら話を聞くことになっていたのだ。将棋ファンの間では糸谷八段が無類のお菓子好きで、対局の控室などを訪問する際は手土産を欠かさず、スイーツ王子と呼ばれていることは織り込み済み。ネット中継などから得た知識で、そういった文脈も汲み取れる事情通が集まっていた。

 とはいえ、竜王1期獲得の実績があり、日頃タイトル戦でおやつを運ばれる側であった糸谷八段自らケーキを取り分けるというのは若干うろたえるものがあった。ファンにはたまらない距離の近さだ。

 トークは関西若手の好きな食べ物やお酒の話からスタート。「◯◯君はショートケーキ好き」など軽いジャブ的な話題もクスクスと笑い声が起こる。中には真剣にメモを取る女性も数人いた。

 わずか2メートルほどの距離ということもあり、話の合間にコメントや質問をファンからはさむことができた。「あの対局の時に出前でココイチのカレーを取った理由は?」「関西と関東で脇息(きょうそく=正座するときに肘をかけるもの)のデザインが少し違うのは何故?」など細かいツッコミが多く気が抜けない。

 大阪大学院修士課程で哲学を学んだ糸谷八段は「お酒は適量派です」「西山朋佳三段が四段になれるかですか?試行回数が多いのでチャンスあります」などと知性あふれる独特の表現で次々と質問に答えていた。

 棋士の知られざる日常話に花が咲き、果たして関西若手の躍進について聞けるのだろうかと不安になってきた頃、ある女性が「王位戦の菅井竜也七段と澤田真吾六段の戦型予想は?」と突然聞いたので「で、できる……!」と内心驚いた。ライバル関係や、個々の活躍が刺激になり、追いつけ追い越せの精神で全体の躍進に繋がっているのとの分析で、見事トークショーも終盤の着地を決めた。

 終了後、何人かに感想を聞いた。50年前からという古参ファンの男性は、現在も月に4、5回の頻度で将棋イベントに足を運ぶ。そのうち3割は将棋を指さなくても楽しめる内容だという。10年前は女性が1人か2人だったのが、今は10倍になった。「大盤解説会では手の解説だけでなく、女性や子どもでも楽しめるような話題が聞けるようになった」。棋士のサービス精神も向上しましたか?との問いには、「全然違う!三浦弘行九段は昔は指し手を考え出すと固まって何も話さなくなっちゃったけど、今は柔らかい語り口で笑いを取りにいける。兄弟子の藤井猛九段にいじられて、成長したと思う」と評価していた。

 昨年夏に渡辺竜王を描いた漫画「将棋の渡辺くん」を“指す将”の息子と読んでファンになったという女性は、秋にイベント初参加。興味を持ったらすぐに参加できる将棋イベントが見つかるのもファンにとって嬉しいことだ。特定の推し棋士はいるものの「観ているうちに色々な人柄が知れてどなたも応援したくなる」。

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最終更新:6/5(月) 11:59
AbemaTIMES