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カーリング場整備本格検討へ/二戸市 市民理解が課題

6/5(月) 10:35配信

デーリー東北新聞社

 岩手県二戸市が市総合計画に盛り込んだカーリング専用リンクの整備に向け、本格的な検討に着手する。2017年度は国の補助金を活用し、施設規模を含めた建設の可能性を探る。民間の資金を活用した公民連携による整備を前提としており、全国規模の大会が開催できる施設を見込んで、世代間交流や観光振興の新たな拠点にしたい考え。ただ、「競技を楽しんでいるのは一部だけ」と整備に慎重な意見もあり、市民の理解が最大の課題となりそうだ。

 ■全国5番目の規模

 二戸とカーリングの“出会い”は、二戸青年会議所(現カシオペア青年会議所)が、1994年に青少年育成事業としてカーリングを取り上げたことがきっかけ。95年5月に岩手県カーリング協会を設立し、県選手権を毎年開催。全国大会への選手派遣を行うなど、選手の育成に努めている。

 2014冬季ソチ五輪には、市出身の苫米地美智子さんがカーリング女子代表として県勢初選出。夫賢司さんとのミックスダブルスでは世界選手権に4度出場を果たした。協会の会員は現在約150人となり、全国5番目の規模の組織にまで成長した。

 市内では、岩手県立県北青少年の家スケートリンクで、11月から3月にかけて競技を楽しむことができる。しかし、軽米町との境界にほど近い郊外にあることから、協会は、市民が気軽に競技に触れ合えるよう、市に対して3度にわたってリンクの整備を要望してきた。

 協会の浪岡正行会長は「『二戸から五輪へ』という長年の目標も達成し、次はいよいよリンクの整備という段階に入った」と力を込める。「カシオペア地域(二戸地域の俗称)にカーリング場を」と記したのぼりも自主的に掲げており、「子どもから高齢者まで幅広い世代が楽しめる。新たな生涯スポーツとして定着できるはず」と訴える。

 ■二戸駅近くを想定

 市は、リンクの整備を地方創生に向けた取り組みの一つに位置付ける。飲食店や商業施設との併設も視野に入れることも検討する。

 県内では紫波町に公民連携で整備した施設があるなど、民間活力を生かした取り組みが脚光を浴びている。二戸も同様の手法による建設を見込む。

 本年度行う調査は、内閣府の補助事業に採択され、1793万円の補助金を受けた。今後、建設に向けたあらゆる可能性を探る方針だ。

 立地場所には、東北新幹線が発着する二戸駅にほど近い荷渡地区を想定。市総合スポーツセンターや市民文化会館などが集中しており、芸術文化やスポーツの拠点エリアとしての機能強化を目指している。

 ■疑問の声

 一方、カーリングが地域に浸透しているとは言い難いのも実情だ。

 競技の推進を図る市のカシオペア氷上スポーツクラブに所属し、カーリングを楽しむ市民は約50人。週2回行われる練習には、シーズン中の5カ月間で延べ約千人が参加しているが、同市福岡の男性会社員(42)は「周りで競技を楽しんでいるという人は正直少ない。リンクで交流する人口が増えるのかは疑問だ」と指摘する。

 同市堀野の主婦(58)は「野球や剣道も伝統的に二戸では盛んでもあり、どうしてカーリングなのか」と首をかしげる。

 こうした市民の声に、藤原淳市長は「整備には市民への理解が不可欠で、今後もあらゆる場で必要性を説明したい」と強調。「市としては現在、単独によるリンク整備の計画は考えていないが、公民連携による整備を目指し、新たなにぎわい創出を進めていきたい」と力を込める。

デーリー東北新聞社