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東南アジア 強まる喫煙規制 タイ、屋内施設では原則禁止

6/5(月) 12:02配信

西日本新聞

 東南アジアで喫煙を規制する動きが加速している。フィリピンでは屋内外を問わず公共の場での喫煙を禁止する大統領令が7月に発効する見通しだ。タイはたばこのパッケージで健康被害を警告するが、さらに規制を強化する。日本でも受動喫煙対策が進む。東南アジアのたばこを巡る現状を調べた。
 (バンコク浜田耕治)

 「受動喫煙にここまで厳しいとは思わなかった」。3月にバンコクに着任した福岡県出身の男性駐在員(41)は、戸惑い気味だ。以前はたばこを1日15本は吸っていたが、タイの喫煙環境に驚かされるという。

 タイでは国際空港の指定喫煙コーナーなど一部を除き、屋内施設での喫煙は原則禁止だ。オフィスのある高層ビルで一服したいと思えば、わざわざ1階まで下りて屋外の喫煙コーナーに行かなければならない。

 たばこのパッケージも強烈だ。喫煙の健康被害を示す警告表示のスペースは85%を占め、世界最大。がんを患った人の肺や気管切開された喉などの写真が並ぶ。「目を背けたくなるものばかり。気持ちが沈む」と男性駐在員はこぼす。

 タイではたばこの店頭陳列が禁止されており、7月には改正規制法が施行される。喫煙できる最低年齢を18歳から20歳に引き上げ、20歳未満にたばこを販売した者には罰則が科される。

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 規制を強化するのはタイだけではない。スモークフリー(たばこの煙のない)社会を目指すシンガポールは今後、喫煙年齢を18歳以上から21歳以上に引き上げる方針。マレーシアも2月、禁煙エリアを公共の公園などに広げた。

 フィリピンではドゥテルテ大統領が5月、公共の場所での喫煙を全土で禁止する大統領令に署名。7月中旬に発効する見通しだ。

 電子たばこを含む喫煙は、一部の場所を除き、オフィスや飲食店、路上など屋内外を問わず公共の場所で禁止となる。たばこの販売も学校や未成年者が集まりそうな場所の100メートル以内で禁止。違反者には厳しい罰金を科すのが特徴だ。

 ドゥテルテ氏は麻薬撲滅対策で、犯罪者が抵抗すれば殺害もいとわない強権的な手法を用いた。禁煙はダバオ市長時代に実績を上げた“肝いり”の政策だけに「麻薬の次の標的はたばこ」との見方も強い。

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 世界保健機関によると、15歳以上の男性の喫煙率はインドネシアの76%を筆頭に、フィリピン43%、タイ41%で、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国のうち7カ国が日本(34%)を上回っている。

 喫煙には寛容だった各国が規制強化にかじを切った背景には、医療費の増加が財政を圧迫しかねないとの懸念がある。たばこが一因とされる疾患の死者数はタイで年間5万人。専門家は「家族に金銭的負担をかけ、政府予算を浪費させている」と警鐘を鳴らす。

 空港の喫煙コーナーで紫煙をくゆらせる会社員のトビンさん(49)は、やめたくてもやめられない一人。「家でも職場でも肩身が狭くなる一方だ」と嘆いた。

西日本新聞社

最終更新:6/5(月) 12:02
西日本新聞