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イラストで医学の発展支える 文字を補完し研究結果を解説

6/5(月) 10:55配信

山陽新聞デジタル

 メディカルイラストレーションについて、川崎医療福祉大学(岡山県倉敷市)の横田ヒロミツ医療福祉デザイン学科准教授に寄稿してもらった。

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 生命を救うために描かれるイラストがあると知ったのは東日本大震災の直後でした。それまで25年間、広告や出版のイラストを生業(なりわい)としていた私にとって、テレビに映し出される震災の惨状から、もはや絵などを描いている場合ではないという思いを抱いていました。被災者を救助し、その命を救う人々を眩(まぶ)しく感じたものです。ちょうどその頃です。「川崎医療福祉大学の医療福祉デザイン学科で、メディカルイラストレーション教育を始めるから手伝ってくれないか」、という電話が入ったのは…。

 学術論文や教科書、プレゼンテーション資料に載せる臓器や骨格、手術手技の手順などを分かりやすく表現し、学術や教育面で貢献する絵をメディカルイラストレーションといいます。ただ、医学医療の基礎的知識がないと描けない特殊な仕事でもあります。

 絵を描くことしかできない私にも、人の命を救う仕事に寄与できることに魅力を感じ、今まで仕事で使ってきたコンピューターグラフィックス(CG)の指導というポジションで、メディカルイラストレーション教育に加わることになりました。

 メディカルはサイエンスの1ジャンルです。サイエンスは数かぎりない研究の積み重ねによって発展してきました。研究の都度、その結果を記録し伝えなくてはなりません。そのために必要なのは、文字と、図(絵)や写真などの視覚的伝達ツールです。今ではイラストというとアニメをイメージする人が多いようですが、もともとイラストレーションとは解説のための絵という意味です。

 医学の発展に視覚的伝達は欠かせません。文字だけでは伝えきれないことが多々あります。特に医学は専門性が高く、描く対象も有機的で複雑なためイラストレーションが不可欠です。描写力や医学医療の知識はもちろんのこと、医学医療の一端を担っているという覚悟、あくなき探求心や向上心が必要です。また、依頼された課題を理解し、どうしたら分かりやすく伝えられるのか、自分で考える能力を鍛える強い意志が求められます。難しくもありますが、やりがいが持て、知的探究の楽しさも感じられる仕事です。

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