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英総選挙「EUのせいで漁業が衰退」と訴える漁師にスコットランドは

6/5(月) 16:49配信

ホウドウキョク

メイ首相が、EU(ヨーロッパ連合)との離脱交渉を前に政治基盤を固めようと前倒しを決めた総選挙が、8日に迫った。

一時は、地滑り的圧勝とみられていた与党の保守党が、ここに来て一転、支持を落とし、過半数割れの予測さえ出ている。

そして、EUの単一市場に残るかどうかで揺れているのが、北部スコットランドだ。
イギリスからの独立を目指す地域政党SNP(スコットランド国民党)が、圧倒的な支持を得ていたが、今、風向きが変わりつつある。

スコットランド北東部にある、イギリス最大の水揚げ量を誇る漁港「ピーターヘッド」。
市場には、新鮮な魚がずらりと並び、漁業関係者でにぎわっている。
しかし、市場の一角には「廃棄」と書かれたエリアが設けられ、中には、水揚げされたばかりの魚が大量に捨てられていた。

漁獲枠を超えた魚は破棄。加盟国の漁船も操業…

EUが定めた漁獲枠を超えたため、廃棄されてしまうというのだ。

EUは、共通の漁業政策で、とることができる魚の種類や量を厳しく規制。
また、イギリス近海も、EU共通の海として扱われるため、ほかの加盟国の漁船も操業することができる。
漁業関係者は、「共通漁業政策は、この地域にとって大災難だ」と話す。

規制に縛られたうえに、魚まで奪われる。
漁師たちの不満は、総選挙の風向きにも影響を与えつつある。

EU単一市場への残留を訴えるSNP

前回の総選挙で、スコットランドに割り当てられた59議席のうち、56議席を獲得したのが、EU単一市場への残留を訴える、SNP。
3年前のスコットランドの独立の是非を問う住民投票では、独立運動を指導した。

SNPの党首で自治政府のスタージョン首相は、スコットランドだけでもEUに残留できるよう取り組む姿勢を見せていて、スコットランド議会は2017年3月、独立の是非を問う2度目の住民投票を実施するよう、イギリス政府に求めていくことを決めた。
スタージョン首相は、「EU離脱の道をたどるか、独立国になるかの選択だ」と訴える。

スコットランドでは、今回の総選挙でも、SNPが多数の議席を獲得するとみられているが、「EUのせいで損をしている」と考える漁師たちは、その牙城を崩そうとしている。

イギリスに残ったまま、EUから離脱すべきだ

漁師生活40年のピーター・ブルースさんは、3年前の住民投票で、スコットランドの独立に賛成票を投じた。
しかし、漁業の衰退を目の当たりにした今は、イギリスに残ったまま、EUから離脱すべきだと考えるようになった。

ブルースさんは、「かつて120隻の漁船がいたが、今は30隻だ。共通漁業政策のせいだ」、「前回は、独立への思いが先立ってしまったが、今回はよく頭で考えたい」と語った。

EU離脱と独立、そして、保守党へのシフトも起きつつあるスコットランド。
総選挙の結果が、イギリスの未来に、さらなる不透明感をもたらすかもしれない。

最終更新:6/5(月) 16:49
ホウドウキョク

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