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アフガニスタン女性の聖域、首都カブールの美容院

6/5(月) 15:13配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【6月5日 AFP】窓に飾られた写真は大きな期待を抱かせる。コール墨で縁取られた物憂げな目。鮮やかで派手なネイル。だがアフガニスタンの首都カブール(Kabul)の美容院に入ると、外観から受けたイメージは内側の活気にあふれた現実を反映し切れていないことがはっきりと分かる。

 2001年に旧支配勢力タリバン(Taliban)政権が転覆するとカブールには魅力的な小さなオアシスがいくつも花開いた。光り輝く女性の空間が、ほこりっぽい危険な男性支配の街頭と著しい対照を示し始めた。

 カブールの中心部に軒を連ねるそれらオアシスの窓はインパクトの強いメーキャップや洗練されたヘアスタイルの画像で覆われ、男性の視線から室内を保護している。入り口はついたてやシンプルなカーテンでふさがれている。

 このように守られたブドワール(私室)への敷居をまたぐと、女性たちはベールやスカーフを脱ぎ捨て、レギンスや襟元、大きく開いた背中をブルカからのぞかせ、さらに夏にはタンクトップ姿となる。

 あらゆる年代の女性たちの間で飛び交う会話が、ヘアドライヤーの音とマニキュアやローションのにおいと混じり合う。

 高級サロン「ヘナ(Henna)」の経営者アテナ・ハシェミ(Athena Hashemi)さん(32)は「ここにお見えになるお嬢さんたちのご家族は、ここが女性だけの場所なので満足しています。ここはとても安全だと分かっているのです」と語る。長い髪をたらし薄化粧の美しいアテナさんはアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)で訓練を受けた後、2年前にサロンを開いた。今や美容師17人の雇い主だ。

 地元の裕福な有名人がよく訪れるヘナの料金は高い。「花嫁特別パック」は9000アフガニ(約1万5000円)で、6000アフガニ(約1万円)の全身ワックスが含まれる。

「今のアフガニスタン女性はとってもおしゃれですよ」と客の一人は話した。

 慎み深さが好まれてきた伝統的なアフガニスタンのイメージに挑戦するようなメーキャップが好まれている。肌にはファンデーション、目元にはつけまつげ、そしてイリデッセント(玉虫色)の大胆なパウダーで仕上げだ。

■肯定的なエネルギー

 アテナさんは「みなさん、もっと塗って!もっと!っておっしゃるんですよ」とため息をつく。

 大きな産科医院の医師であるハマ(Hama)さんは、いとこの結婚式を前に娘のマリアム(Mariam)さんを連れてサロンにやってきた。初めてサロンに来たマリアムさんは16歳だが、つけまつげを付け、ゴールドのアイシャドーとペチュニアの色の口紅を塗ってもらうと大人の女性のようになった。

 ハマさん一家はカブールで拉致事件や過激派の襲撃が増えるにつれて他の家族と同様にレストラン通いをやめ、大きな集まりも避け、タリバンが横行するカブール市外に車で行くこともなくなった。そのため、まれな外出の機会となった結婚式に懸ける意気込みは制限なしの青天井なのだとハマさんは語る。

 数年前、若い研究者のリマ・コーリ(Rima Kohli)さんは、女性を嫌悪するタリバン支配下の苦難の時代を含めた40年近い戦争の後にメーキャップがアフガン女性に与える影響について調査した。

「女性は戦争から最悪の心理的、感情的、精神的な影響を被ったのです」とコーリさんは言う。「そのため小さな達成可能な一歩から始めて、たとえば、自分をきれいだと感じられるようになることは、少なくとも何らかの肯定的なエネルギーを生み、さらに深い問題に取り組む段階につながるのです」

 だがほとんどの保守派にとって美容院は憎悪の対象であることに変わりはない。アテナさんは幻想を抱いていない。「数年たった今でも…彼らは私たちを脅かすことができます。私たちは用心を怠ってはならないのです」 (c)AFPBB News

最終更新:6/5(月) 16:52
AFPBB News