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一夜明けてリフレッシュ、錦織がチョン・ヒョンの猛追かわして激闘制す [全仏テニス]

6/5(月) 12:02配信

THE TENNIS DAILY

 フランス・パリで開催されている「全仏オープン」(5月28日~6月11日/クレーコーと)は大会8日目、前日に降雨のためキャンセルされた男女シングルス3回戦に加え、男子ボトムハーフの4回戦と、女子トップハーフの4回戦が行われた。

錦織が韓国のチョン・ヒョンをフルセットで振りきり3年連続16強 [全仏オープン]

 第8シードの錦織圭(日清食品)と世界ランク67位のチョン・ヒョン(韓国)の3回戦は、錦織のセットカウント2-1での第4セット0-3から試合再開。このセットはチョンが6-0で圧倒したが、最終セットを錦織が6-4で奪い、2日に及んだ計3時間51分の試合は幕を下ろした。スコアは、7-5 6-4 6-7(4) 0-6 6-4。錦織の4回戦進出は3年連続となる。

 女子ダブルスでは日比野菜緒(LuLuLun)/アリシア・ロソルスカ(ポーランド)がキルステン・フリプケンス(ベルギー)/フランチェスカ・スキアボーネ(イタリア)に3-6 2-6で敗れた。これで日本勢は単複を通じて錦織以外すべて姿を消した。

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 最初の2セットを連取してからタイブレークで第3セットを落とし、第4セットは0-3。苛立ち、ミスが増える錦織に対して、チョンの自信は膨らむばかりで、前日の降雨による中断は錦織にとって幸運ではあった。ただ、2ブレークを許したところからの再開というトリッキーな状況だ。このセットはあきらめて最終セットにかけるという選択が自然だろう。

 しかし、セットを落とすにしてもどう落とすかが、最終セットの入りに影響するように思われた。1ゲームも奪えず、あまりにも簡単に落とした第4セットの成り行きには不安を覚えたものだが、それも体力と集中力を温存するための作戦だったに違いないと確信したのは、最終セットの立ち上がりを見たときだ。

 最初のゲームをラブゲームでキープすると、第2ゲームでダブル・ブレークポイントを握る。これを生かせず、次のゲームで逆に15-40とされた場面は苦しかったが、「(チョンは)ストロークが安定しているので、自分から崩しにかからないと勝てない」ということは強く肝に銘じていた。

 ただ、その崩し方が昨日と違った。チョンのパワーに対してパワーで挑まず、ペースや角度を巧みに駆使し、バリエーションで追い詰め、ここというところで攻めた。つまり、チョンよりも明らかに錦織がまさっている部分を出していったのだ。その戦術を実行できたのは、一晩のうちに「メンタル的に回復する時間があった」からにほかならない。昨日はラケットを叩き折るほど熱くなっていた頭を、一夜のうちに冷やすことができたのだ。

 また、「昨日は大事なところでのミス、特にリターンミスが多かったので、今日はまず一本返すことを心がけた」と言った通り、特にチョンのセカンドサービスに対するポイント獲得率が上がり、ファーストサービスに対しても簡単にフリーポイントにはさせなかった。その結果、第4ゲームでブレークに成功。サービング・フォー・ザ・マッチの第9ゲームでブレークバックを許したが、チョンのサービスゲームでチャンスをつかんだ。

 このゲーム、最初の4ポイント連続でファーストサービスを入れてきたチョンだったが、錦織はそれらをすべて返してラリーにもち込み、うち2ポイントをものにした。30-30からのポイント、これがこの日一番の〈勝負〉の一本だっただろう。鮮やかなバックハンドのアングルへのウィナー。これで錦織がマッチポイントを握り、幕切れはチョンのダブルフォールトだった。

 それにしてもチョンは、がむしゃらにボールをよく拾い、体勢を崩しても質の高いショットを返すところに体の強さを感じさせる。試合後、「グランドスラムの3回戦という舞台で対戦できて、ここまで戦えたことを誇りに思う」と話し、錦織も「まだまだ強くなる。トップ10にも近づける」と、質問した韓国の記者を通じてまるでチョンを激励するようにコメントした。

「雨に助けられた。あのまま続けていたら100%負けていた」という言葉も、チョンの力を認めたがために出たのだろう。そこは率直に安堵の思いを語ったが、フィジカル・コンディションに関しては、英語で「all good(問題なし)」と言い、日本語でも「大丈夫です」と一言。微妙な笑みに深い意味がないことを祈るばかりだ。

 2年ぶりの準々決勝進出をかけた相手は、世界ランク37位のフェルナンド・ベルダスコ(スペイン)だ。元世界7位の33歳は今大会絶好調で、若手ナンバーワンの実力者アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を1回戦で破ってきた。「辛抱しながら戦わないといけない相手」と錦織。負けるわけにいかなかったチョンとの一戦での辛抱と勇気が、ネクスト・レベルの錦織圭につながることに期待したい。

(テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

最終更新:6/5(月) 12:02
THE TENNIS DAILY