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女性CEO、人数少ないが報酬は男性以上

6/5(月) 9:32配信

ウォール・ストリート・ジャーナル

 米国の大手企業を取り仕切る女性たちは豊かな報酬を受け取っている。

 賃金のジェンダーギャプ(男女格差)からすると異例にも思えるが、米国の一部大企業では、女性の最高経営責任者(CEO)の報酬が男性CEOを上回っている。S&P500種株価指数を構成する企業の2016年のCEO報酬(在任1年以上)をウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が分析したところ、女性21人の報酬額(中央値)は1380万ドル(約15億3700万円)で、男性382人の1160万ドルより多かった。

 米大手企業を率いる女性の収入は、過去7年のうち6年で男性を上回った。この傾向には複数の要因が絡むとみられる。近年、女性が経営する主要企業の業績が好調なことや、厳しい経営再建を断行した複数の女性CEOがいること(その場合、報酬は高くなるのが普通)などだ。

 もう一つの大きな要因は、企業の頂点に上り詰める女性が依然として少ないことだ。女性CEOは数々の障害を乗り越えてS&P500企業の経営者になった「スーパースター」が多いと、経営者報酬やリーダーシップの専門家は話す。また、多様性と高いパフォーマンスを求める取締役会は、成功した女性CEOに対して、一段と進んで報酬を積み増す傾向にあるという。

 取締役会の報酬委員会に助言するコンサルタント会社、ファリエント・アドバイザーズのロビン・フェラコーン氏は「賃金の平等性が大きな問題となる昨今の環境で、取締役会は女性CEOを不当に扱わないことを心がけている」と話す。

 S&P500企業の女性CEOは前年と変わらず28人(既に引退したか在任1年未満だった7人を含む)で、全体の約5%にとどまった。一方、報酬額上位10人のうち、28年間にわたるWSJ調査で初めて女性が3人を占めた。

 その3人はヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)のメグ・ホイットマン氏、IBMのバージニア(ジニー)・ロメッティ氏、ペプシコのインドラ・ヌーイ氏だ。

 21人の女性CEOの多くは外部から招かれたのではなく、生え抜きでトップに就いた。ここまで昇進する女性は非常に少ないため、「これらの女性は例外に違いない」と女性政策研究所(IWPR)のハイディ・ハーマン所長は話す。

 昨年の株主総利益率(TSR)の中央値で見ると、女性CEOが率いる企業は18.4%だったのに対し、男性CEOの企業は15.7%だった。株主への還元では、過去5年のうち3年で女性経営者が男性経営者を上回った格好だ。TSRの値はその企業の株価や配当支払額によっても変化する。

 「株主還元も業績も優れた会社であれば、性別にかかわらず、取締役会はCEOの報酬を上げるだろう」と、ヘッドハンティング会社コーン・フェリー・インターナショナル傘下ヘイ・グループの経営者報酬専門家、アーブ・ベッカー氏は指摘する。

 例えば、株主還元が約55%に達したHPEでは、ホイットマンCEOが16年10月31日までの1年間に3560万ドルの報酬を受け取った。HPEは2015年にヒューレット・パッカードを2社に分割して誕生した一方の会社だ。同氏の報酬は分割前の2社を経営していた前年の1710万ドルから倍増した。

 一方、報酬が最高水準にある女性CEOは株主から厳しい目を向けられる。IBMのロメッティCEO がいい例だ。ロメッティ氏は退潮する部門をクラウドコンピューティングのような新事業で埋め合わせようとしているが、今年1-3月期には20四半期連続の減収となった。

 ロメッティ氏の昨年の報酬は3270万ドルで、前年の1980万ドルから大幅に増額。これに対し、多くの株主は高額すぎると考える。今春の株主総会では同社の幹部報酬について約46%の反対票が投じられ、11年に始まった「セイ・オン・ペイ」(株主が幹部報酬への意見を示す制度)で過去最も強い反対意見が表明された。ただし同制度には報酬をカットさせる拘束力はない。

By Joann S. Lublin