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異例の6年契約の裏に“苦い過去”…鯉のニューヒーロー・バティスタ

6/5(月) 13:00配信

ベースボールキング

史上初!初打席から2打席連続の代打弾

 セ・リーグ首位を走る広島に、新たなヒーロー候補が出現した。ドミニカ共和国出身の25歳、サビエル・バティスタだ。

 彗星のごとく現れた助っ人に「一体何者なんだ!?」という声も多く挙がっているが、実は昨年3月に入団した2年目の選手。カープアカデミーの出身で、昨季は二軍で68試合に出場して打率.243、6本塁打という成績を残した。荒削りではあったが、その飛距離はチームメイトやウエスタンで対戦する他球団の選手も圧倒されるほどのものだったという。

 そして迎えた2017年、荒削りだった原石が輝きを放つ。二軍で39試合に出場し、打率.363、14本塁打、38打点と絶好調。出塁率(.418)も合わせてウエスタン四冠という成績を残し、支配下登録を勝ち取った。

 そして支配下登録が公示され、すぐに一軍登録を受けて迎えた3日のロッテ戦。代打で入ったプロ初打席で右中間に放り込む初本塁打を放つと、その翌日も代打で豪快な一発。初打席からの2打席連続代打本塁打は、セ・リーグ史上初の快挙であった。

“苦い過去”を経て…

 バティスタは2年前の2015年に、広島が運営するドモニカ共和国の「カープアカデミー」に入団。努力が実り、昨年3月に晴れてチームと育成契約を結んだ。

 入団から2年で掴み取った支配下登録。異例だったのはその契約内容だ。契約金は約1120万円(10万ドル)。年俸は約520万円(4万7000ドル)プラス出来高払い(※金額はいずれも推定)となっているが、契約年数が今季を含め6年という長期に及ぶ。

 いくら二軍で絶好調とはいえ、一軍での実績がまったくない若手野手との長期契約に対しては、“異例”とする声の方が多かった。しかし、この裏にはチームが過去に味わった苦い経験があるように思う。


 広島がドミニカ共和国の地に「カープアカデミー」を設立したのは、1990年のこと。球団の経費削減などのため、一時は野手育成を凍結するなどという紆余曲折もあったが、その後野手の育成も再開されて現在に至る。

 これまで、カープアカデミーを経て広島でプレーした選手には、後にメジャーで2095安打、412本塁打を記録するアルフォンソ・ソリアーノを筆頭に、ロビンソン・チェコやティモ・ペレスなど数多くの名選手がいる。最近では、2014年にサイクル安打を達成したライネル・ロサリオが「カープアカデミー」の出身だ。

 ソリアーノは1996~97年の2年間を広島で過ごした。一軍では9試合のみの出場に終わったが、メジャー移籍後に才能が開花する。逆に投手のチェコは、広島時代の1995年に15勝8敗、防御率2.74という成績を残し、97年にボストン・レッドソックスに移籍。しかしメジャーでは芽が出ず、3シーズンで計16試合の登板に終わった。

 ソリアーノとチェコの2人は、広島在籍時に契約でもめた経緯があり、ともに2年間という短い期間で日本を去っている。当時は「複数年契約」を結ぶ選手は日本球界全体でもほぼなく、契約面などの整備も今ほどされていなかった時代だ。もし広島がソリアーノ、チェコらを長期保有できていれば...?90年代から続いた広島の低迷はなかったかもしれない。

 今回バティスタと結んだ6年という長期契約は異例だが、金額は低く抑えられているため、チームにとってプラスに転じる可能性は高い。果たして“時の人”となっているバティスタは、常勝カープの礎を築く一人となれるだろうか。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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