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超常現象を30年取材し続ける男 「なんでそんなことしてんの?」聞いたら深かった 科学者のあるべき姿は

6/8(木) 7:00配信

withnews

 超能力、幽霊、UFO、ツチノコ……。超常現象・オカルト分野を30年もひたすら取材し続けている記者がいます。「なんでまた、そんなことやってんの?」。聞いてみると、「科学者」のあり方、社会の変化、深いこたえが返ってきました。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美)

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「あるわけない」はヘン

 皆神龍太郎さん(ペンネーム)。1980年代後半から、超常現象の取材を本格的に始めたそうです。
 実は皆神さん、「正体」は朝日新聞の社員です。科学系の記者歴が長いですが、超常現象の取材は「社業というより、ほとんど趣味」だそうです。

皆神さん)だって、そういう怪しい話ってめったに新聞に載らないですから。

 たしかにそうですね……。
 ご本人は「趣味」とおっしゃいますが、出版に関わった本は100冊を超えます。専門家としてテレビ番組に招かれることもあり、この分野の第一人者です。超常現象に興味津々な若者の前で、語ってもらいました。

若者)なんでまた、こんな変わった分野を追い続けているんですか?

皆神さん)私は、そもそもは新聞記者なので、客観的な事実というものが気になるんですよ。超常現象が「ある」のか「ない」のか。私が超常現象の調査や研究を始めた約30年前には、そこらにこだわってちゃんと調べようとする人が日本には全くと言っていいほどいなかった。科学者で超常現象を批判する人ならいました。ですが、単に「あるわけない」といった否定の仕方なんですよね。科学者なのに、批判する対象をちゃんと調査研究した上で否定していたわけじゃなかったんです。それってやっぱりヘンでしょ?

若者)言われてみれば、たしかに。

皆神さん)例えば、科学の分野では、論文も読まず、検証もしないまま相手のいうことを「間違っているに決まっている」って批判したら、逆にバカにされますよね。でも日本の科学界では、超常現象は調べなくても否定して良いということが、なにか不文律みたいにされていた。メディアも似たようなものでした。NHKの7時のニュースとか朝日新聞の一面で「ネッシー捕獲か?」なんて記事をみたことないでしょ? そういう怪しげな話を扱うのはスポーツ新聞とか大衆誌がやることであって、「相手をしない」ということが一流のジャーナリズムの証しなのだ、といった感じだったんです。一種のタブーでもあったわけです。

若者)たしかに日本では「真面目に調べるに値しない」っていう空気はありますね。じゃあ、超常現象の取材を始めたきっかけってなんだったんですか?

皆神さん)超常現象の真偽をチェックしたいと思っても、何をどうしたらいいのか皆目分からなかったんです。そんなある日、仕事でアメリカに行っていた友人から、「お前の好きそうな本とか雑誌とか見つけたから」と段ボール1箱分送られてきたんです。アメリカの古本屋巡りで集めたとか言ってました。で、その本の中に、見たことのない雑誌が入っていた。「スケプティカル・エンクワイヤー」という雑誌で、アメリカの懐疑主義団体CSICOP(サイコップ)が出している機関誌でした。

若者)懐疑主義団体ってなんですか?

皆神さん)超常現象を科学的・批判的に検証する人たちのことです。雑誌を読んで驚きました。占星術が当たるかどうかを科学者が確率計算をして真面目に検証していたり、自称超能力者にマジシャンが挑んでそのトリックを暴こうとしていたり、宇宙人に誘拐されたと主張する人々の証言の裏をジャーナリストが追っていたりしたんです。バカにするのではなく、真っ正面から、ガチで挑んで調べていたんです。ああ、こうして検証をすればいいのかと目からウロコの体験でした。

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最終更新:6/8(木) 7:00
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