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悪はとても巧妙だからこそ、人を惹きつける…20世紀の悲劇を乗り越えるものこそ芸術

6/6(火) 21:03配信

シネマトゥデイ

 2016年の第73回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)を獲得した映画『パラダイス』のジャパンプレミア上映会が5日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、メガホンを取ったロシアの名匠アンドレイ・コンチャロフスキー監督と、主演女優で妻のユリア・ヴィソツカヤが登壇。コンチャロフスキー監督は「約30年ぶりの日本ですが、前回の来日は絶対に忘れられません。あの黒澤明監督が富士山を背景に、私にお寿司を握ってくれたのです」と黒澤監督とのエピソードを振り返りつつ、最新作に込めた熱い思いを語った。

 1937年、ロシアで指折りの芸術一家に生まれたコンチャロフスキー監督。アンドレイ・タルコフスキー監督作の共同脚本を担当していたほか、第32回カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した『シベリアーダ』(1979)や、黒澤監督の脚本を基にしたパニック映画『暴走機関車』などで知られている。「私の祖父は画家でしたので、小さい頃から葛飾北斎や安藤広重を見てきました。日本文化は、私にはとても近しいもの」とコンチャロフスキー監督。

 前作『白夜と配達人』(2014)も第71回ベネチア国際映画祭銀獅子賞に輝いており、「近年、異なるタイプの素晴らしい作品を連発ですね」という進行役の投げかけに、コンチャロフスキー監督は「映画監督には、ミケランジェロ・アントニオーニや小津(安二郎)のように同じものを撮り続けるタイプと、コメディーや悲劇などさまざまなジャンルを撮る黒澤監督のようなタイプがいると思うんですが、私はずっと、黒澤監督をお手本にしているんです」と応じ、「『デルス・ウザーラ』(黒澤監督のソ連・日本合作映画)編集中の黒澤監督にお目にかかり、その14年後に黒澤監督脚本の『暴走機関車』を自分が撮ることになろうとは思ってもいなかった」「フランシス・フォード・コッポラ監督から黒澤の脚本で映画を撮らないかとすすめられ、イスから転げ落ちそうになりました」と笑う。

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最終更新:6/6(火) 21:03
シネマトゥデイ