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不振続いてもイチローの信頼は落ちない その存在理由とは…

6/6(火) 12:00配信

デイリースポーツ

 開幕から2カ月、マーリンズのイチロー外野手(43)の調子が上がってこない。“第4外野手”3年目の今季は5月終了時の打率が・176。過去2年の同時期と比べ、大きく数字を落としているベテランを球団幹部はどう見ているのか。チーム編成の責任者、マイケル・ヒル編成本部長(46)の言葉からイチローの存在理由が明らかになった。

 5月31日、フィリーズ戦後のクラブハウス。ヒル編成本部長は開口一番、こう言った。

 「私が思うにイチローはこれまでと何も変わっていない。依然としてプロフェッショナルだし、毎日試合に備える姿勢も同じ」

 移籍3年目の今季は4月22日以降、打率が1割台と低迷。役割は同じ“第4外野手”だが、過去2年の同時期の成績(15年・287、昨季・322)とは1割以上も開きがある。

 今季は正外野手3人にけがや不調がないことから出場機会が激減していることも一因だが、同本部長はその点に理解を示しながら「私たちは心配していない」と断言する理由はこうだ。

 「なぜなら、私たちは彼がどんな選手なのかを知っているし、何ができるのかも知っている。そして、チームの助けになることも知っているからです」

 ヒル編成本部長が使った主語の単語は「I(私)」ではなく、「WE(私たち)」。イチローに対する信頼の言葉は個人的意見ではなく球団の総意なのだ。

 イチローが試合前に外野ダッシュを新たに練習メニューに加えたのは5月25日のこと。15試合ぶりに先発起用された時にゲームで使う体力の不足を実感した翌日だ。それは今の自分に何が必要かを考えている証しだった。

 その姿は20代半ばの若い選手が中心のチームにとっては大きなお手本だ。今ではゴードンやイエリチらがイチローと同じ保湿機能をもつ箱型バットケースを使用している。イチローのバットを使って2試合連続本塁打を記録したのは、練習時のキャッチボール相手でもあるオズナだ。

 「彼の存在はこの球団にとって非常に重要なのです」(同本部長)。

 昨年8月にメジャー通算3000安打を達成したイチロー。数々のメジャー記録を塗り替えてきた選手がいる心強さは計り知れない。昨年10月に契約更新を発表した際に、イチローが50歳までプレーできると太鼓判を押したのはサムソン球団社長だ。そこにあるのはイチローへの敬意。そして、マーリンズが最後の球団でありたいという願望が見える。

 長いシーズン。好不調の波のない選手はいない。「過去2年がそうであったようにイチローの出場機会が増える時は来るでしょう。どんな時も彼が準備していることを私たちは知っています」。ヒル編成本部長がこちらの目を見据えてそう言った。(デイリースポーツ・小林信行)