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大気中のCO2濃度、日本で観測史上最高を更新

6/6(火) 11:40配信

スマートジャパン

■エルニーニョ現象の影響か

 気象庁は2017年5月、日本付近における大気中の二酸化炭素(CO2)濃度が増加し、2017年に地上観測地点での月平均値が観測史上最高を更新したと発表した。観測船による北西太平洋域の洋上と航空機による日本の南東上空も観測史上最高を記録した。

【大気中のCO2濃度】

 地上観測地点における2016年の濃度年平均値も観測史上最高を更新。濃度年平均値の増加量は、最近10年間の平均年増加量を大きく上回り、特に南鳥島では観測史上最大となっている。地上観測地点で増加量が例年を大きく上回った原因は主に、2014年夏から2016年春に発生したエルニーニョ現象の影響と考えられている。前年からの増加量が大きい傾向は、北西太平洋域や日本の南東上空でも見られているという。

 気象庁は世界気象機関の全球大気監視計画の一環として、大気および海水中の精密なCO2濃度の観測を、日本を含む北西太平洋域の陸上と海洋、上空で行っている。2017年4月までの観測結果では国内観測地点の地表面付近(陸上)、北西太平洋域の洋上(海洋)、日本の南東上空6km付近(上空)のいずれも観測史上最高を上回った。

 3つの陸上観測地点でのCO2濃度月平均値は、2017年3月に南鳥島と与那国島で、2017年4月に綾里でそれぞれ観測史上最高を更新した。2016年の年平均値でも、3地点とも観測史上最高を更新している。前年からの増加量はいずれも最近10年間の平均年増加量を大きく上回り、南鳥島で観測史上1位、綾里で1位タイ、与那国島で2位となった。

 大気中のCO2濃度は、人為起源の排出により年々増え続けているが、その増加量には年ごとの変動が見られているという。この増加量の変動は人為起源の排出量の変動だけでなく、自然界での吸収や放出量の変動によっても起こっている。

 エルニーニョ現象が発生すると、1991年のピナトゥボ火山噴火後の例外を除けば、熱帯域を中心に高温・乾燥化することにより、植物など陸上生物圏によるCO2吸収の減少や森林火災による放出などが増加し、世界的にCO2濃度の増加量が大きくなることが知られている。国内3地点の2016年濃度年平均値が前年を大きく上回って増加したのも、主に2014年夏から2016年春に発生したエルニーニョ現象の影響と考えられている。

■海洋と上空におけるCO2濃度の変化

 2017年冬季における洋上大気中のCO2濃度は、東経137度線の北緯7度~33度の平均値が409.9ppm、東経165度線の北緯9度~28度の平均値が407.1ppmで、いずれも観測史上最高を更新した。前年からの増加量は東経137度線において+5.4ppmで、最近5年間の平均年増加である1年当たり+2.1ppmより大きくなっている。

 表面海水中のCO2濃度も、長期的には大気中と同程度の割合で増加し続けている。一般的に、東経137度線と東経165度線における冬季の海域では、洋上大気中の濃度が表面海水中の濃度を上回っているため、海洋が大気からCO2を吸収して蓄積しているという。

 南東(神奈川県綾瀬市-南鳥島間)での上空6km付近は、2017年4月の飛行経路上におけるCO2濃度の平均値は409.6ppmで、観測史上最高を更新した。2016年に行った12回の観測の平均値404.2ppmも観測史上最高を更新。前年からの増加量+3.4ppmは、最近5年間の平均年増加量である1年あたり+2.5ppmより大きくなっている。