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スシロー、「王道ネタ」と「宅配」で新たな客握る

6/6(火) 17:22配信

ITmedia ビジネスオンライン

 回転ずしチェーン最大手のあきんどスシローが、アナゴやウナギなどの新商品の投入や1皿90円のセールを実施。既存の顧客に加え新たな客を店に呼び込むとともに、Uber「Uber EATS」や楽天「楽びん!」などのデリバリーサービスと手を組んだ展開を行い、潜在的な客層を掘り起こしていく。

【素材や加工にこだわったアナゴやウナギ】

●堅調な業績を生み出した「世界の海からいいネタ100円」

 あきんどスシローを運営するスシローグローバルホールディングスは17年3月30日、8年ぶりの東証1部復帰を果たした。再上場後初の発表となった17年9月期上半期(16年10月~17年3月)の決算は、売上高768億円(前年同四半期比8.1%増)、営業利益44億円(0.5%増)、純利益29億円(9.4%増)と順調に推移している。

 堅調な業績を生み出すエンジンになったのが、16年11月にスタートした「世界の海からいいネタ100円プロジェクト」だ。チリ産ウニ、ニュージランド産キングサーモン、境港産の生銀鮭など、国内外から仕入れを行ったネタを100円(以下税別)で提供。想定の2倍以上の売れ行きで、特にうには15年と比べて約4倍と大きな反響があった。スシローのネタの売り上げ比率は、人気のマグロが平均4~5%ほどで基本的に上位につけるが、ウニを提供していた16年冬はウニが6~7%も占めていたという。

 水留浩一社長は「お客さまからのいい支持をもらい、結果につながった。下半期はもちろん、来期以降もこの取り組みを進化していきたい」とプロジェクトに手応えを感じている。

 6月は黄海のアナゴを使った「黄金のとろ穴子」、7月は土用の丑の日に合わせて中国・広州で養殖された「本格・うなぎの蒲焼き」を100円で投入。「夏にかけて『スタミナ』をテーマに、すし屋の王道であるアナゴとウナギに手を入れた」という。工場での加工ラインやたれにもこだわり、価格だけではなく味のよさもアピールする。

 また、特別価格ですしを提供する「スシロー創業祭」を実施。第1弾は6月12~16日で、通常1皿100円の商品を期間限定90円で販売する。16年創業祭では対象店舗は約130店舗だったが、17年は拡大し、都心型の2店舗(SUSHIRO南池袋店、五反田店)を除く全店舗で展開する。第2弾はとろの大きさを2倍にした「倍とろ」(100円)、第3弾は「まぐろ3貫盛り」(180円)の提供を予定する。

 「90円でお客さまにより多く集まってもらい、スシローを体験してもらうのが狙い。16年の創業祭では、価格を100円に戻したあとも、お客さまに来ていただいていた。半年に1回くらい気軽に来てもらえるタイミングを作り、『また来たい』と思ってもらい、継続的に来てもらうことを狙う。もちろん、感謝やお客さま還元の意味合いもある」(水留社長)

 こうした需要増や客数増が見込める商品を継続的に提供するため、力を入れるのが調達力強化だ。商品本部を強化し、バイヤーの増員や、主要な取引先や生産者との関係深化に取り組んでいるという。また、千葉県の店舗では地場のケンサキイカ、ヒラメ、サワラなどを販売するなど、地域と密着した取り組みも始めた。

 その一方で、水産資源の問題は深刻だ。水留社長は漁獲量減や価格高騰は認めつつも、「だからこそ、『待ちの姿勢での調達』ではなく、『世界に探しに行く調達』という形で体制を組みなおしている。チリ産のウニなど、これまでなかなかすしネタにならなかったものを、加工技術で調達するようなことも行っている。継続的にやっていきたい」と語った。

●宅配と都心型店舗で握る新たな客層

 こうした従来の店舗集客に加え、新たに始めるのが宅配だ。

 スシローは6月5日、フードデリバリーサービス「Uber EATS」を使い、東京都内の都心型2店舗、南池袋店と五反田店で宅配を開始した。狙うのは、都心の1人暮らし層やオフィスでの需要。初日には20件近いオーダーが入ったといい、「都心での宅配すしのニーズはある」と自信を見せる。

 7月からは東京・世田谷の店舗でも「楽びん!」経由で出前を開始し、あまりスシローに来ていないファミリー層をターゲットにする。外部の宅配サービスを活用するため、人件費や現場の負担は増やさず、売り上げ増を見込める。

 宅配進出の背景の1つには、「中食」(弁当や総菜をスーパーやコンビニで購入し、家で食べる)市場の成長がある。スシローでは、郊外店舗では持ち帰りを注文する利用者も少なくないが、都心型2店舗ではほとんどいないという。

 「中食は今後大きく伸びていくが、現状中食業界の中でおいしいすしが提供されているとは思っていない。おいしいすしを家庭やオフィスで楽しんでもらえる環境を作りたい。中食専門店を始めるつもりはないが、実店舗のキッチンをフル活用し、持ち帰りの進化形の1つとしてデリバリーを行っていく」(水留社長)

 スシローの出店戦略は郊外を中心としており、現在都心型の店舗は都内の2店のみ。この2店を足掛かりにして都心市場の開拓を進めていく。都心型店舗の新規開店も計画しており、今期35店舗の出店計画のうち、3~5店舗は東京や大阪の都心に出していく予定だ。