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アングル:経営悪化のインド太陽光メーカー、中国勢に対抗できず

6/6(火) 13:59配信

ロイター

[ニューデリー 6日 ロイター] - インドの大手太陽光発電機器メーカーが経営悪化に苦しんでいる。モディ首相は「インドでの生産」を打ち出しているものの、政府は国内製造業よりも安価なエネルギーを重視する傾向があり、価格面で中国勢に対抗できないためだ。

気候変動抑制の国際的な枠組み「パリ協定」離脱を決めたトランプ米政権と違い、インドは再生可能エネルギーへの大規模な取り組みを継続している。数十億ドル規模に上るインド市場は、中国国内での生産過剰や欧州での重税に苦しむ中国メーカーにとって格好の標的だ。

インド国内の発電能力は12ギガワット(GW)超と、ここ3年で3倍以上に拡大。モディ首相は再生可能エネルギーにより2022年までに175GWの電力をまかなう計画を打ち出している。

この発電能力増強で最も利益を得ているのが中国勢だ。業界のデータによると、インドの太陽光発電モジュール需要の約85%を中国製品が充たし、中国企業の稼ぎは20億ドル規模に上るという。さらに、市場は今後数年以内に年間100億ドル超に拡大すると見込まれている。

ただ、ジュピター・ソーラーや、インドソーラー<INDL.NS>、モーザー・ベア・インディア<MOSR.NS>といったインド勢は契約を取るのに苦闘している。

インド政府は国内製品を活用する政策を打ち出したが、世界貿易機関(WTO)が昨年9月、この政策が国際貿易ルールに違反しているとの判断を支持したことを受け、注文はほぼ消え去った。

中国製の発電機器価格の大幅な下落を受けて、インドの発電所開発事業者は入札提示価格を引き下げることが可能になっている。ただ、インドの関連メーカーは技術に劣り、原材料は輸出に頼っているほか、低利融資の利用も限られており、こうした契約の一角に食い込むことは難しいのが実情だ。業界関係者によると、中国製のモジュールはインド製よりも1─2割安いという。

ジュピター・ソーラー首脳はロイターの電話取材に対し「WTOの決定が全てをだめにした。どの会社にも言えることだ」と強調。中国勢の太陽光セルの販売価格は0.19-0.20ドルと、ジュピター・ソーラーの生産コストを約35%も下回っているとも訴えた。

<砂上の楼閣>

こうしたことを背景に、ジュピター・ソーラーはこれまでに受注した分の処理を今月中に終えて、7月までに解散する可能性があると発表。インドソーラーの監査法人は事業継続に疑義を示しており、モーザー・ベアも太陽光事業の復活には銀行の支援が必要だとするなど、窮地に陥る企業が相次いでいる。

ソフトバンクグループ<9984.T>と富士康科技集団(フォックスコン・テクロノジー・グループ)<2354.TW>、インドのバーティ・エンタープライズの合弁会社SBエナジーは、国内生産の不足を巡り政府と協議していると説明。同社首脳は「国内の太陽光関連の生産能力の著しい欠如を懸念している」と打ち明けた。

企業幹部らは、ほかにも生産規模の不十分さや原材料のサプライチェーンがないこと、技術の変化が急激なことなども、インド企業が中国勢に太刀打ちできない原因だとの見方を示している。

太陽光モジュールメーカー、ビクラム・ソーラーの首脳は「政府は電力価格を引き下げるのに躍起だが、砂上に楼閣を建てることはできない」とし、国内での生産に支えられていない公共政策は長続きしないと言い切った。

再生可能エネルギー省高官は、政府が国内の太陽光関連製造業を促進するための計画をいくつか進めているところだと述べたが、詳細は明らかにしなかった。

(Krishna N. Das記者、Sudarshan Varadhan記者)

最終更新:6/7(水) 10:55
ロイター

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