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尾瀬見守り強化 財団、行政が連携

6/6(火) 10:00配信

福島民報

 尾瀬保護財団は行政や研究機関と連携し、尾瀬国立公園の自然環境を守るため生態系や植生を継続して見守る体制を整える。シカなどによる食害の範囲を追跡調査するほか、近年の豪雨などによる湿原の変化を定期的に観測し、必要な対策を講じる。5日に基礎データを収集する財団の第4次尾瀬総合学術調査が現地で始まった。
 尾瀬では湿原を代表する植物のミズバショウ、ニッコウキスゲがニホンジカやイノシシに食べられる被害が広がっている。尾瀬保護財団は国、福島、群馬、新潟3県、研究機関とともに、食害が深刻な場所に専門家らを派遣し、植物の数や大きさなどに変化がないかを定期的に調べる方針だ。結果を基に動物の侵入を防ぐ柵を設置するほか、植生の保護に向けたより厳格なルールづくりを国に提案する。
 近年、相次いでいる豪雨をはじめ、少雪による影響も調べる。尾瀬の河川が氾濫した際や雪解け水が大幅に減った年の湿原の水の成分、水位、周辺環境などに変化がないか把握する。現在、ビジターセンター周辺に限って設置している降雨量の計測機器を他のエリアにも取り付けるほか、小型無人機「ドローン」を使い湿原の地形を調査する。こうした取り組みを通じ、気象環境による影響から植生を守る対策を検討する。
 尾瀬の自然環境を把握する総合学術調査はここ20年間行われておらず、直近の状況が十分につかめていなかった。さらに、尾瀬保護財団、行政、大学などが個別に研究・調査を行ってきたため、食害や気象の影響に関するデータが共有できておらず、有識者から各機関の連携を求める声が上がっていた。
 檜枝岐村の尾瀬檜枝岐温泉観光協会の星哲二会長(67)は「食害は広がり続け、地元だけでは対応が難しい。大勢のハイカーに足を運んでもらえる状況が続くよう、有意義な調査にしてほしい」と期待している。
 尾瀬保護財団は「国民の財産といえる尾瀬を永遠に守る新たな仕組みをつくりたい」としている。

■ドローンも活用 国内湿原で初

 尾瀬保護財団は5日に始まった第4次尾瀬総合学術調査の結果を基に、継続的な見守りが必要な地域を決める。
 大学教授ら約50人が調査団を組織し平成31年度まで行う。尾瀬ケ原や尾瀬沼の動植物の種類などを調べてリストを作るほか、日本の湿原で初となるドローン調査を行う。
 群馬県片品村の鳩待峠で開始式に臨んだ調査団長の坂本充名古屋大名誉教授(86)は「食害、温暖化は全国の湿原での問題。調査の結果を生かしてもらえるよう発信していきたい」と話した。
 この日、調査団は群馬県側のテンマ沢などで雪解けの状況やミズバショウの咲き具合を調べた。

福島民報社

最終更新:6/6(火) 10:22
福島民報