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がん治療に放射性薬剤 福医大、国内初承認目指す

6/6(火) 10:02配信

福島民報

 福島医大は平成32年度にも、放射性核種「アスタチン」を用いた最先端がん治療の人への臨床試験に着手する。実用化に向けた研究・開発費として、国の福島再生加速化交付金約12億円が付いた。アスタチンによるがん治療は国内外で注目を集めており、新薬の有効性と安全性を確立し、国内初となる薬事承認を目指す。福島県が5日、関連予算を計上した29年度一般会計補正予算案を発表した。
 アスタチンは、アルファ線を放出する半減期約7時間の放射性核種。体内に投与し、がん細胞に直接、放射線を照射する治療法「放射性同位元素(RI)内用療法」で使う薬剤の原料となる。
 特定のがんに集まる抗体などにアスタチンを結合させて製造した薬剤を注射などで体内に投与。直接アルファ線を照射することで、がん細胞を縮小・消滅させる。アルファ線はエネルギーが強い半面、体内では透過力がほとんどないため正常な細胞に与える影響は少ない。
 医大によると、国内で承認されているアルファ線核種を応用したRI内用療法の薬剤は、現時点で前立腺がんが骨転移した際に使用される塩化ラジウムの薬剤しかない。アスタチンを用いた薬剤が薬事承認されれば国内初となる可能性が高いという。
 同大は、先端臨床研究センターに国内の医療機関として初めて導入した最先端機器「中型サイクロトロン」でアスタチンの製造に成功し、医療応用に適した品質や量を確保できるようになった。29年度内に動物実験を始め、人への臨床試験に向けた研究を進める方針だ。
 32年度にも予定している臨床試験では、肺や膵臓(すいぞう)などの難治性がんをはじめ、血液の進行性がんなどで効果を確認する。
 現在、アスタチンを安定的に製造できるのは福島医大と放射線医学総合研究所(放医研)だけに限られている。薬事承認が得られれば、薬剤を製造する製薬会社の県内集積が進むことも期待されている。
 内堀雅雄知事は記者会見で「世界的にみても先進的な治療法だ。福島で実用化できるよう取り組む」と述べた。
 県が発表した補正予算案には、県民健康管理基金造成事業として薬剤の研究・開発費12億3455万円を計上した。

福島民報社

最終更新:6/6(火) 10:13
福島民報