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小泉進次郎氏アグリテックで熱弁「 スマホで政策を農家に直接届け、中間の自治体や農協を“中抜き“させる」

6/6(火) 7:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

5月23日(火)~25日(木)の3日間、東京都港区の虎ノ門ヒルズで農業とイノベーションを融合させるアグリテック企業を集めたイベント「AG/SUM(アグサム) アグリテック・サミット」が開催されている(アグリテックとは、農業=アグリカルチャーと、テクノロジーの造語)。日本では、農業従事者の平均年齢が年々高まっており、近い将来には「大量離農時代」が到来すると言われている。人間の生存に必要な「食」に最も近い第一次産業である農業を守り、さらには農業から新しい産業を創出するという観点からもアグリテックが今、農業関係者らの間で注目されている。

【画像】農業テック「アグリテック」を活用すれば、政策を農業従事者に直接届けることができると語る小泉進次郎衆議院議員。

24日午前のステージでは、自民党農林部会長の小泉進次郎衆議院議員らが新しい農業の形について議論した。ここでは小泉氏の「特別対談」と、研究者と現場の農家が一堂に会した「パネルディスカッション」をまとめてお伝えする。

アグリテックで「政策流通革命」を

小泉氏はみずほフィナンシャルグループ社長で経団連農業活性化委員会 委員長の佐藤康博氏の対談で、農業界のIT化の遅れについて問題意識を語った。

「先日農家の方から、『農協からメールアドレスを聞かれたことがない。通信手段を(現代に合ったより便利な形にするため)FAXからメールにしてほしい』といった話を聞いた。まだ回覧板を使用している例もあると聞く(中略)これからは一人一人がスマホを持つ時代。今後は政策をスマホに直接届けるようにしていきたい」

いま農林水産省と農家の間には、たくさんの仕組みや人々が伝言ゲームのようにレイヤーをつくっている。そのため、発信した情報が農家に届くまでには時間を要するのが実情だ。

「例えば最新の政策情報や農業研究者の研究成果、補助金の話を直接手のひらのスマホに届けていく。私は『政策流通革命』と呼んでいるが、政策を当事者(農家)に直接届け、中間にある自治体や農協を“中抜き“させることが必要だと思っている」

ドラゴンボールの「スカウター」を農業に?

続くパネルディスカッションでは、小泉氏がモデレーターを務め、全国農業青年クラブ連絡協議会の会津宏樹氏、エムスクエア・ラボの加藤百合子氏、慶應義塾大学の神成淳司氏、日本総合研究所の三輪泰史氏の5人が、IoTなどのテクノロジーを用いた第4世代農業、いわゆる「農業4.0」について意見を交わした。

AIを活用し農業の幅広い分野で活躍が期待されるロボット「DONKEY」(画像参照)を紹介したのは三輪氏。このユニークなロボットが用途に応じてアタッチメントを付け替えられるモジュール性を備えていると熱弁すると、小泉氏はずばり「いくらするのか」と質問。「価格は約200万円」(三輪氏)。農家を代表する立場の加藤氏と会津氏は「高い」と一蹴した。

小泉氏は、農業の現場支援に役立つテクノロジーの例として、リアル世界の映像にCGを重ね合せるいわゆる「ミクスドリアリティ(MR)」のMRゴーグルなどの活用について、独特の比喩で説明していく。

「ドラゴンボールに出てくる『スカウター』が相手の戦闘能力全てを表示してくれるように、どのみかんを摘果したらいいのか、ゴーグル型デバイスで全部わかって、将来的には、外国人実習生が産地に来た時、そのデバイスで言語の壁を超えて(農作業を)全て説明できるようになる環境がまず実現するんじゃないか」

農業とテクノロジーの融合がいかに効果的かということでパネリストたちの意見は一致したが、肝心のIT業界と農業界の間に横たわるデジタルデバイドの解決策までは議論が及ばなかった。「誰でも今日から始められる」というレベルの農業4.0実現に向けたステップはいまだ模索中なのだ。

パネルディスカッション後に小泉議員は囲み取材に応じた。主要な質疑応答の内容は以下の通り。

ーアグリテックのセッションを終えて感想は。

現場レベルの農業者と議論できたのは収穫だ。現場から出た声に力をもらった。農業とテクノロジーの融合は間違いなく進んでいくと思う。

ー 昨日発表された農業白書では、新規就農者が増えたようだが。

人は食べなければ生きていけない。だから「食」を作る第一次産業は「最強」だ。非常に夢のある仕事だと思う。若い人たちは農業に可能性を感じているということだろう。新たな価値観の到来を感じる。

ー 農産物の輸出額が伸び悩んでいる。

一部をのぞいて稼ぎ頭が少ないのが現状だ。メニューに多様性を持たしていく必要がある。

ー 経済産業省の若手の取り組みが最近、賛否両論で話題となっている。

賛否が出ないのは何も言ってないに等しいのだから、各省の若手にもどんどん取り組んでほしい。

ー 農地の集約がうまくいってない例もあり、ITは普及するのだろうか。

農地の規模とテクノロジーは(本質的には)関係ない。ITは新しい言語だと思っている。小規模家族経営の農業者も、企業のように経営している農業者も、積極的にITを取り入れていくべきだ。

ー 農業も関連するTPPについてはどう見ているか。アメリカは不参加の方向だが。

アメリカが入る形がベストだった。アメリカ抜きだったら「ジャパンファースト」を考えなければならない。なぜTPPが必要なのか、もう一度見直して共有すべきだ。今後人口減が避けられない日本には、大きな経済圏が必要だと考えている。