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善光寺の僧侶アスリート・矢沢一輝、カヌー練習環境求め白神山地玄関口からメダル挑む

6/6(火) 10:00配信

スポーツ報知

長野・善光寺大勧進の僧侶、青森県西目屋村に移住

 カヌー・スラローム男子カヤックシングルで3度五輪に出場した矢沢一輝(28)が、今年4月から青森・西目屋村教育委員会の臨時職員として東京五輪への再スタートを切った。11位だったリオ大会では本堂などが国宝に指定されている長野・善光寺大勧進の僧侶アスリートとして注目を浴びたが、充実した練習環境を求めて世界遺産・白神山地の玄関口に移住を決断。人口約1400人の村から東京五輪のメダル獲得に挑む。

 世界遺産・白神山地の東に広がる西目屋村。午前と午後の2回、防災無線からふるさと親善大使を務める演歌歌手・吉幾三のかけ声でラジオ体操が流れるのどかな村に、矢沢は移住した。今年4月から教育委員会の臨時職員として同村内で行われるカヌーの大会の運営などに携わりながらトレーニングを積む。“前職”のなごりでもあるピカピカの坊主頭はトレードマーク。「地元の子供たちにはすぐ覚えてもらいました」と笑う一方で、当地に来た理由を「五輪でメダルを取るため」と言い切った。

環境は“煩悩”の種もほとんどなく

 9位に終わったロンドン五輪後の13年。「師匠」と仰ぐ長野県協会の会長だった小山健英氏の勧めで仏門をたたいた。「引退後、手に職を付けようと考えていた」。善光寺大勧進の僧侶としての仕事を最優先に、カヌーの大会は国内のみ。ただ、15年の全日本選手権で優勝したことで3度目の五輪が広がった。結果は準決勝敗退の11位。「次は東京。目指すならメダルを取るためにしっかり準備しよう」。国内で仕事と両立して強化できる先を探し、周囲に掛け合って行き着いた先が西目屋だ。

 村内にコンビニはなく、買い出しは隣の弘前市内のスーパーまで向かう。不便そうに見えるが、カヌーを行う環境は国内では随一だ。勤務先から車で5分ほどの岩木川には実際に大会が開ける競技場を有し、波のない静水面練習に最適な津軽白神湖も車で15分もあれば着く。ウェートトレーニング場はスーパー同様、隣の弘前に出向けばある。「移動に30分かければ競技に必要なものがそろう。国内で考えると他にはないかもしれない。引退後はここで若い選手を育てたい」。午前7時から午後3時45分までの勤務の後はみっちり練習。“煩悩”の種がほとんどないのも利点の一つだ。

 リオ大会のスラローム・カナディアンシングル銅メダルを獲得した羽根田卓也(29)=ミキハウス=ら有力選手は欧州を拠点に調整に励む。1学年上の先輩のメダルも矢沢を奮い立たせる。「中学生の頃から一緒にやってきたし、すごく刺激を受けた。僕にとってもメダルは目標だし、この環境で結果を出すことが次にもつながる」。夢に向かい、自らの選んだ道を突き進むつもりだ。(遠藤 洋之)

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最終更新:6/6(火) 10:00
スポーツ報知