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「不倫」を描くフィクションが増える理由「昼顔」脚本家が見る社会と女性たちの変化

6/6(火) 8:02配信

BuzzFeed Japan

2014年夏に放送されたTVドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」。平日昼、夫がいない時間に別の男性と逢瀬を重ね、禁断の恋に溺れていく「昼顔妻」を取り上げた作品だ。【BuzzFeed Japan / 山崎春奈】

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上戸彩さんと斎藤工さんが、互いに伴侶がいる“恋人同士”を熱演。生々しいシーン、過激なシーンも多く、女性たちのあいだで大きな話題を呼んだ。

あれから3年。ドラマのラストで「決して会わない、連絡を完全に経つ、離れた場所で生きる」と誓った2人のその後を描いた、映画「昼顔」が6月10日に公開する。

「結末をどうするのか。納得できる答えが見つかるまでにずいぶん時間がかかりました」

脚本家の井上由美子さんはBuzzFeed Newsの取材にこう話す。

「神様、私はまたあなたを怒らせてしまうかもしれません」

ドラマの最終回は、北野と会うことを禁じられた紗和のこんな意味深なせりふで終わっている。

この結末に対しては「ちゃんと忘れて幸せになってほしい」「全然反省してない!」など、視聴者から賛否両論が寄せられた。

当時はまだ続編の構想はなかったが、井上さんの中でも「いつか何らかの形で2人の物語を帰結させたい気持ちはあった」という。

映画は、現実の時間と同じく別れから3年経った設定だ。ドラマからぐっと登場人物を減らし、紗和と北野、そして北野の妻・乃里子(伊藤歩)の3人にフォーカス。

紗和と北野の禁断の恋物語だけでなく、乃里子を通して、不倫によって奪われる側の苦しみや憎悪も描く。

愛することは、奪うこと

井上さんが作品に寄せたコメントの一節に印象的な言葉があった。

<人を愛することは、奪うことです。恋敵から奪い、相手そのものを奪い、ときには自分も失くします。>

「愛することは、奪うこと」。この言葉の真意は?

「人を好きになると、イライラすることも、もやもやすることもあるし、あとで後悔するような馬鹿な行為だってしてしまう。まして不倫だったら、家庭や仕事すら失う可能性がある。誰も好きにならなければ、毎日冷静に落ち着いた生活ができるのに」

「それでもしてしまうのは……本能、としか言えないですよね。何かを奪う、自分を失うことは魅力なのだと思います。人間が一番裸になれる、どうしようもなくその人自身が出てしまう行為が『恋愛』だと思います」

ドラマ「昼顔」を構想している時、井上さんの念頭にあったのは「大人の女性のための恋愛を描いてみたい」。

世間一般的にストレートな恋愛小説やドラマが響きにくくなる中で、仕事をして、結婚して、子どもがいる女性たちに届くラブ・ストーリーとはどんなものか。

10代の女性向けの「かわいいラブコメ」ではなく、積み重ねた人生の重さから目を逸らさない恋愛を描く要素のひとつとして、既婚者同士でありながら抗えず恋に落ちてしまう「不倫」を取り入れた。

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最終更新:6/6(火) 12:23
BuzzFeed Japan