ここから本文です

トヨタ、欧州100万台回復に勢い 顧客の心をつかんだ“ダイレクトフィーリング” HV

6/6(火) 15:47配信

日刊工業新聞電子版

■開発に顧客の声、HV戦略ピタリ

 トヨタ自動車が競合メーカーのひしめく欧州でじわりと存在感を高めている。ハイブリッド車(HV)を軸に販売を伸ばし、リーマン・ショック後に年80万―90万台で推移する欧州販売台数は17年に再び100万台に回復する勢いだ。今後は新設計思想「TNGA」に基づく生産ラインの刷新なども控える中、どう競争力を高めるのか。トヨタが欧州統括拠点を置くベルギーを訪ねた。

 5月中旬、ベルギー・ブリュッセルのトヨタ・モーター・ヨーロッパ(TME)を訪ねると、最も目立つ場所に小型車「ヤリス」(日本名ヴィッツ)のHVが展示されていた。背後には「最大50%の電動走行。100%ハイブリッドの楽しみを、充電なしで」との垂れ幕。今、トヨタが欧州で最も力を入れる車種だ。

 欧州でのトヨタのシェアは5%弱と他の地域と比べて低いが、最近は販売の好調ぶりが目立つ。欧州自動車工業会が発表した欧州30カ国の4月の新車登録台数によると、トヨタ(レクサス含む)の販売台数は前年同月比4・8%増加。営業日が前年より少ない影響で独フォルクスワーゲンなどライバルは軒並み販売を落とす中、トヨタの健闘ぶりが光る。

 欧州事業を担当する永田雅久常務役員は「HVはトヨタの強み」とし、手動変速機(MT)搭載のガソリン車が主流だった欧州でも3、4年前からHV中心の販売戦略に転換。強まる燃費・排ガス規制に対する当面の環境対応車の柱としてHVを位置付ける。 

 欧州市場ではアクセルの踏み込みやハンドル操作に対して車がすぐに反応する「ダイレクトフィーリング」が好まれるとされる。一方、HVはクラッチ操作の必要ない変速機構のため「ダイレクト感」をどう出すかは課題だった。

 そこでトヨタは日米で販売するHVとの整合性を考慮しつつ、欧州の顧客の声を設計に反映。「車の速度とエンジンの回転数の上がり具合を同期させるなど、欧州の意見をHV開発に生かしている」(永田常務役員)。

 16年発売の小型スポーツ多目的車(SUV)「C-HR」では「欧州で通用するクルマづくり」(トヨタ幹部)を目標に掲げ、開発段階で欧州各国の道を走破。欧州で好まれるレスポンスや足回りを実現した。C-HRは現在の欧州販売をけん引し、HVモデルの販売比率は8割弱に上る。

 トヨタは17年の欧州販売計画(ロシアなども含む計53カ国)を前年比5%増の97万5000台に設定するが、足元では1―3月の販売台数が27万台弱(前年比11・4%増)と年販100万台超えのペースだ。将来はプラグインハイブリッド車(PHV)や燃料電池車(FCV)の本格販売に加え、電気自動車(EV)の普及も予測される。永田常務役員は「まずはシェア5%の安定的な達成を目指す」と話し、着実に地歩を固める考えだ。

1/2ページ