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動きだした大阪「なにわ筋線」計画、鉄道各社で思惑絡み合う

6/6(火) 9:01配信

ニュースイッチ

中心部を南北に貫く新線にJR、阪急、南海たちの期待と警戒心

 大阪の中心部を南北に貫く新線「なにわ筋線」の計画が動きだした。総事業費3300億円を見込み、関西空港と難波“ミナミ”、梅田“キタ”の二大都心、新大阪を結ぶ大動脈は、2031年開業を目指す。整備計画は大阪府・市とJR西日本、南海電気鉄道に加え、新線の建設に直接関わらない阪急電鉄も参加して合意。新線プロジェクトは関西の鉄道会社の戦略に、大きな影響を与えそうだ。

 なにわ筋線はJR西のJR難波、南海の新今宮の両駅が起点。南海が地下に建設する新難波駅を経て、地下鉄・中央線近くの西本町駅以北がJRと南海の共用区間。

 大阪大学などの再開発計画が進む中之島駅で京阪電鉄との接続を想定する。終点は大阪駅北側の再開発地区にJRが地下駅を建設中の北梅田駅だ。

北梅田は23年の開業予定で、新大阪駅と大阪環状線をつなぐ旧貨物線を移設してできる新駅。JR西は空港特急「はるか」を停車させて、関西空港に短時間乗り換えなしで運ぶ。

 JRと空港アクセスで競合する南海にとって、北梅田駅の完成は脅威だ。難波―関空をJRよりも短時間で結んでいるが、他駅への連絡は課題。ビジネス需要の大きなキタの需要をとりこぼしかねないため、梅田延伸は南海の悲願だった。

 一方で阪急電鉄も、北梅田駅に乗り入れる新線「なにわ筋連絡線」の計画を打ち出した。神戸や宝塚方面からの客が大阪市北部のターミナル・十三(じゅうそう)駅で、地下線に乗り換えて難波や関空に直通する。

 「我々の計画の方が早かった」(阪急電鉄首脳)と話すように、阪急は長年、地下鉄・四つ橋線への乗り入れを模索してきたが、これを断念して参加。連絡線のレール幅もJRや南海に合わせた狭軌で計画し、標準軌を採用する阪急線への乗り入れは想定しない。

 キタは阪急のお膝元であり、都市を発展させてきたという自負がある。北梅田は阪急・梅田駅と離れた場所に位置する。沿線の利便性や誘客を考慮すると狭軌の新線を作ってでも、なにわ筋線との接続は魅力的に見える。

 阪急は十三―新大阪の連絡線延伸も狙う。新幹線と接続する交通の要衝・新大阪駅乗り入れは、阪急長年の懸案だ。新幹線高架沿いに線路用地の大部分は確保済みだが、計画の凍結が続いた。

 実現すれば梅田―新大阪は阪急、JR、地下鉄の3社4ルートで接続。JR西日本の来島達夫社長も「競合になる」と警戒する。

 なにわ筋線完成後、南海の新大阪乗り入れについて「何本かは可能だと思う」(JR西の来島社長)と、水面下の合意を示唆した。しかし、南海にとってはJRが無理でも、阪急連絡線を経由するという選択肢が取り得る。

 ただ、阪急にとっては連絡線の費用対効果は厳しいのが現実。阪急首脳も「これから検討する」と述べるにとどまる。単純に建設路線の収支だけでなく、沿線の利便性や心理的効果を、どこまで計算するか。いずれにしても重要な決断を控える。

日刊工業新聞第ニ産業部・小林広幸