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「テロリズムとは、メディア戦略を使った大量殺人」 その仕組みを崩壊させるための提言

6/6(火) 14:46配信

BuzzFeed Japan

英でテロ事件が相次いでいる。5月22日のマンチェスターでの事件を受け、テクノロジーと社会について研究するゼイナップ・トゥフェックチーは、恐怖を煽るテロ事件の報道について、ISの狙い通りだと指摘。そろそろテロリストたちをメディアの「プロデューサー席」からおろすべきだという。
【Zeynep Tufekci / BuzzFeed Japan】

テロに遭ったら最低限こうしなさい――外務省に聞く

ISによる大量殺人は、2017年も引き続き世界を揺るがせている。マンチェスターの事件のターゲットは子どもたちだった。過去に幾度となく見られたように、マスメディアの報道は、同じ内容を繰り返している。逃げ惑う犠牲者たち、苦悶しながら子どもを待つ親、取り乱した母親など、いくつかの同じ映像が画面を独占し、延々と流れている。

ISにはメディア戦略がある。そしてそれは残念ながら、まさにこうした報道がなされることを狙っている。こうしたメディア戦略は、学校での銃乱射事件の犯人や、白人至上主義のテロリストをはじめとする、衝撃的な大量殺人者が本能的にしていることと同じだ。彼らは、ゆがんだ名声を得ることを願っている。念入りに準備した声明が公表されることを望み、自分が撮影した動画がケーブルテレビで繰り返し流れることを願っている。

見る人にショックを与えるようなかたちで犠牲者を増やし、注目される。ISは学校での銃乱射事件の犯人同様、このようなことを本能的に行っている。大量殺人者は、過去の似たような事件の報道を異常なまでに追っていることがよくある。多くの犠牲者を生んだ殺人者を「尊敬し」、見倣おうとしている。

ISではなく精神障害のある米国の若者によって引き起こされた「サンディフック小学校銃乱射事件」は、まさにそういう事件だった。子どもをターゲットにすることで、大量殺人をよりセンセーショナルにしようとしたのだ。ISの場合は、本能的ではなく、戦略的に、よりセンセーショナルにしようとしている。起こした事件の報道を増やし、人々の恐怖を倍増させるためには、事件そのものを激しいものにする必要があるということを理解しているのだ。

そしてわれわれは、何度も何度も、彼らの狙い通りの反応をしている。

誤解しないでいただきたいのだが、筆者も、ほかの人々と同じような反応をする。もちろん統計結果は理解している。テロ事件で亡くなる子どもより、毎日交通事故で亡くなる子どもの方がずっと多い。戦争やさまざまな苦難が、世界中の子どもたちにとって慢性的な問題であることも分かっている。

ときには、米国政府が手を貸すことによって(イエメンでの軍事作戦や、バーレーンへの戦闘機売却条件撤回のように)、ときには米国政府が何もしないことによって(南スーダンで起きている飢饉のように)、子どもたちが苦しめられていることも知っている。それでも、自分の家や、自分の場所だと思っている場所で行われた攻撃に恐怖を覚え、取り乱した親たちの映像に衝撃を受けるのが人間なのだ。

統計をどんなに知的に分析したところで、コンサート会場の子どもたちが殺人者に爆弾で吹き飛ばされたと聞けば、涙を流さずにはいられない。あまりに邪悪で卑劣なために、その邪悪さと卑劣さのすべてを表現する言葉がない。だがそれは、われわれがある事実を理解していないことの言い訳にはならない。こうした行為が行われたのは、われわれの人間的で本能的な反応を狙ってのことだ。こうした人間的で本能的なリアクションのせいで、自分の反応をコントロールするのが難しくなり、殺人者たちの狙い通りに反応してしまうのだ。

だが、われわれの本能的な反応は容認できるとしても、報道機関が何度も繰り返してこの事件を報道することはもはや容認できない。これではまるで、殺人者が、非難されるべきテレビのリアリティ番組の「影のプロデューサー」であるかのようだ。

ソーシャルメディアによる拡散も原因だと言うこともできるが、筆者としては、ソーシャルメディアを使う人たちのこのような事件への対処法は、どんどん良くなってきていると感じている。

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最終更新:6/6(火) 14:46
BuzzFeed Japan

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