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今、本当に受動喫煙をなくすには、どうすればいいのか 日本医師会副会長に聞く

6/6(火) 14:53配信

BuzzFeed Japan

調整が難航する受動喫煙対策法案。たばこの健康上の害は医学的に明らかになっているのに、なぜ対策は進まないのか。長く禁煙推進活動に取り組む日本医師会副会長・今村聡氏に、その理由を聞いた。【BuzzFeed News / 朽木誠一郎】

たばこの煙を吸うことに健康上の害があるのは、今や周知の事実だ。しかし、いざ「禁煙推進運動」や「受動喫煙対策」をしようとすると、当然のことながら、反応には賛否が入り混じる。

2020年に東京でスモーク・フリー(受動喫煙のない状態)が原則のオリンピック開催を控える中、2017年の通常国会で提出予定とされた受動喫煙対策法案は、今も厚生労働省と自民党との間で調整が難航している。

なぜ、禁煙推進運動や受動喫煙対策は進まないのか。BuzzFeed Newsは国内最大の医師の職能団体であり、長く禁煙推進運動に取り組んでいる日本医師会副会長・今村聡氏にインタビューを行った。

たばこは嗜好品で、喫煙の文化もある。しかし、それは健康上の害についてのエビデンス(証拠)が積み上がるより前から受け継がれているものだ。

--禁煙推進運動や受動喫煙対策には「禁制品ではないのになぜ」や「喫煙は文化」という反論もあります。それについてはどう考えますか?

たばこに対して、そのような捉え方が過去にあったことは事実でしょう。しかし、それはたばこによる健康上の害についてのエビデンス(証拠)が今のように積み上がる前のものです。

いくつかの例を挙げると、喫煙者の死亡率は非喫煙者より高く、国内で喫煙に関連する病気で亡くなる人は年間12万~13万人と推計されています。一般に肺がんになるイメージがあるかと思いますが、肺だけでなく、ほとんどの部位のがんの原因にもなる。

他にも、脳卒中や虚血性心疾患などの心臓や血管の病気、COPDという重い肺の病気、生活習慣病の糖尿病、早産・低出生体重児・死産・乳児死亡などの妊娠や出産に関すること、歯周病など、たばこを原因とする病気はたくさんあります。

受動喫煙の害も深刻です。たばこを吸わない人であるにも関わらず、他人のたばこの煙を吸い込んだことが原因で命を落とす人は、厚労省の推計では年間約1万5000人以上。交通事故死(約4000人)よりも多いことは、すでにあちこちで言及されていますよね。

文化というなら、イギリスにはパブにおける飲酒と喫煙の文化の長い歴史がありました。しかし、それでも受動喫煙については明確なルールができて、パブを含め屋内が全面禁煙となった。世界的にも受動喫煙防止は大きな流れです。

健康上の害がこれだけはっきりしているのに、いつまでも過去の価値観に囚われて、喫煙の習慣を継続するというのは、医学の観点からは合理的ではありません。

--医学の観点から合理的であるにも関わらず、禁煙推進運動や受動喫煙対策が進まないのはなぜですか?

まず、禁煙推進運動や受動喫煙対策は、決して進んでいないわけではありません。国民全体の喫煙率は確実に下がってきています。ただ、そのスピードがわれわれ日本医師会が望むよりもゆっくりであることは言えます。

また、若い男女の喫煙率が未だに高いことにより、本人の将来の健康が脅かされること、そして、社会としても医療費負担が増えることが予測され、問題だと思います。

--スピードがゆっくりであること、若い男女の喫煙率が未だに高いことには、どのような理由が?

たばこの健康上の害についての認識は、まだまだ十分とは言えません。

喫煙者の方は2つのパターンに分かれます。1つはたばこの害を十分に知らないでたばこを吸っているパターン。「なんとなく体に良くない」というのはわかっているけれど、ほとんどの場合、吸ったらすぐに痛くなる、苦しくなるものではないので、たばこの害が漠然としていてイメージしにくい。

だから、この人たちには、合理的な判断をするための情報をしっかり提供する必要があります。日本はたばこの規制が世界最低レベルと言われ、諸外国の方が進んでいるわけですが、たばこのパッケージにさまざまなたばこの害がプリントされていることは有名です。

もう1つのパターンは、たばこに害があるとわかっているけど、「自分はどうなってもいい」というパターン。誰もが合理的な判断をしなければいけないわけではありませんから、本人がリスクを理解した上で、喫煙を希望するなら、それは自由です。

ただし、受動喫煙により、非喫煙者がたばこの煙を吸い込むことは絶対に防がなければなりません。また、将来の健康が脅かされること、社会としても医療費負担が増えることは、継続して啓発していかなければなりません。

ここで難しいのが、誰もが「死亡者数が◯万人」「がんのリスクが◯倍」といったマクロのリスクを自分ごと化できるわけではないこと。引き合いに出される交通事故死者数の年間約4000人だって、「へえ、そうなんだ」くらいの感想でしょう。たばこの健康上の害を、どう自分ごと化してもらうかが重要です。

--どうすればイメージしにくいたばこの健康上の害を、自分ごと化してもらえるのでしょう。

自分ごと化できるかどうかは、その人の性格やバックグラウンドによる。だから、私は個別性がカギになると思います。

例えば、ある人にとってはがんのリスクよりも「シワが増える」「歯にヤニが着く」といった美容のリスクを指摘する方が受け止めやすいかもしれない。別の人にとっては、恋人から「たばこ臭くてキスしたくない」と言われる方が効果的かもしれない。

とはいえ、すべての人に個別的な対策がとれるわけではないので、日本医師会として国民向けのCMを展開するときには、メディアと内容を使い分けるなど、マクロとミクロを組み合わせた対応をしています。

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最終更新:6/6(火) 14:53
BuzzFeed Japan