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【ホークス・達川ヘッドコラム(上)】突然のスタメン落ち、人生最大の危機を救ったのは…馬

6/6(火) 12:01配信

西日本スポーツ

 今季からスタートしたソフトバンク・達川光男ヘッドコーチ(61)のコラム「今昔物語」-。独特の話術で球界の今と昔を紡ぐ語り部が、今回も痛快に論じます。第3回は、広島で現役だった26年前の梅雨時期に迎えた「人生最大のピンチ」。この局面を救ったのは、必死な動物の姿でした。そして「鬼軍曹」として知られた当時のヘッドコーチの気づかい、さらに亡き妻から掛けられた愛にあふれる言葉とは-。

【達川コラム(下)】ぎっくり腰なのに先発で「エーーーッ!」鬼軍曹の気遣い、亡き妻から愛の駄目だし

■ドラ1が起用され…

 西スポ読者の皆さま、どうも達川です。早いもので、このコラムも3回目じゃの。チームも交流戦に突入したんじゃけど、2カード連続勝ち越しと5月に続いていい戦いができとると思うよ。先週末は横浜スタジアムでの試合だったんじゃけど、宿舎に向かうバスから大井競馬場が見えたんよ。それで、ふと昔のことを思い出しての。今回は、その話をさせてもらうかの。

 あれはもう26年前か…。1991年のことよ。ワシも長年、正捕手を務めて、もうベテランと呼ばれる立場じゃったけど、その年にドラ1で瀬戸(輝信)いうのが、入ってきてな。で、今と同じ時期じゃった。ワシが突然スタメンを外されて、瀬戸が起用されて大敗したんよ。ワシは調子も悪くないし、どこも痛くない。10年近く正捕手を務めてきて、意地もプライドもあったからの。コーチ室まで「どうしてですかっ!」と言いに行ったんよ。そしたら、首脳陣総出で怒られたよ。「おまえが決めることじゃないっ!」。一蹴よ。

 そのまま1週間くらいすぎたころかの。週末に横浜スタジアムで3連戦があったんよ。日曜日の試合が終わって、都内の宿舎に移動したときよ。大井競馬場のナイターレースの照明が遠くに見えてな。何に導かれたか知らんけど、試合のなかった月曜日に若いスタッフを連れて行ったんじゃ。本来競馬はせんけえ、馬券も買わずスタートゲートの近くまで行ってずーっと見とったんよ。

 ワシらで言うと「これから試合が始まる」というところよ。馬にも「これからレース」という思いがあるんかの。ものすごい緊迫感と迫力があってな。でも、いざ「バーンッ」とゲートが開いたら、2頭くらい出らん馬がおったんよ。そしたら騎手にムチを「バチバチーッ」って、これでもかという勢いで入れられたんよ。「ああ、ワシみたいに言うこと聞かん馬がおるなあ。馬も厳しくやられとるなあ」と思うたんを覚えとるよ。

 で、せっかく来たんやから「最後に1レースだけ馬券を買おう」言うての。今度はゴールの瞬間を近くまで見にいったんよ。そしたら、どの馬も歯をくいしばって、懸命にゴールに向かってくるんよ。それを見てな、一度スタートしたら、どんなに駄目でも、どんだけムチを入れられても、ゴールまで駆け抜けないけん思うての。ワシも野球界に入ったからには、懸命に駆け抜けようと思わされたんじゃ。翌日からは余計なことを考えずに、とにかく文句を言わず、いつ試合に出ろと言われてもいいよう必死に練習したよ。

西日本スポーツ

最終更新:6/6(火) 12:01
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