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社説[子どもの医療費]現物給付で負担減図れ

6/6(火) 7:20配信

沖縄タイムス

 子どもの医療費を助成する県事業の見直しが進められている。

 低所得世帯を対象に通院・入院ともに中学卒業までの自己負担額を無料とし、窓口での支払いがない「現物給付方式」に改めるとの案である。

 県が実施した「沖縄子ども調査」で保護者の12~16%が子どもが病気になっても病院に行かない「受診抑制があった」と答え、理由の一つに「自己負担金を支払うことができなかった」が挙げられた。

 無料化の拡充は健康格差の是正という子どもの貧困対策にもつながる重要な支援だ。

 現行の県の助成制度は、所得に関係なく通院は就学前まで、入院は中学卒業までを対象とし、通院には一部負担金が生じる。

 新たな案は、低所得世帯への支援を充実させる一方、所得制限を導入。中間所得世帯の場合、通院は就学前までの助成で、通院・入院とも一部負担金がかかる。高所得世帯はどちらも対象外だ。所得区分では住民税非課税世帯を低所得、児童手当の所得制限にかかる世帯を高所得とする案が浮上している。

 小さな子は病気にかかりやすく、入院となると治療費は膨らむ。貧困対策に異論はないが、身近で関心の高い制度であり、負担増となる世帯からの反発が予想される。

 中間世帯といってもその幅は広く、所得区分にあたっては、理解を得るための丁寧な議論が必要だ。少子化対策の一環として広がった制度だけに、少子化に及ぼす影響についても慎重に見極めなければならない。

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 実際に医療費助成を運用する市町村長を対象に本紙が行ったアンケートでは「中間世帯の理解が得られない」などの理由から約4割に当たる16首長が見直しに「反対」を表明した。

 県の助成制度に独自に上乗せをして対象範囲を拡大している市町村は多い。金武町や国頭村などは通院・入院ともに高校卒業まで無料とするなど制度が充実している。

 市町村からは「事業縮小」ととられかねない不安や「全ての子どもが平等に医療を受けられることが大切」との声があった。

 厚生労働省の2015年4月時点の調査によると、全国1741市町村のうち高校卒業まで通院費を援助している自治体は269、所得制限なしとした自治体は1402に上る。

 新制度の検討では、住む場所による負担格差についても議論してもらいたい。

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 市町村長アンケートでは「所得に関係なく現物給付にすべき」という声も強かった。県内では南風原町が今年から現物給付を導入している。

 窓口でいったん自己負担分を支払い、後日助成を受ける償還方式でも医療費は一緒だが、急な病気で手元に現金がない場合はすぐに病院に連れて行けない。経済的に苦しく医療費を工面できなければ受診抑制につながる可能性もある。

 県は新制度の導入を来年秋に予定している。現物給付への変更は先行してでも進めるべきである。

最終更新:6/6(火) 7:20
沖縄タイムス