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AV撮影現場に同行 本番前、25分かけ説明「誰かに強制、無理やりはないですね」 出演確認の実態

6/8(木) 7:00配信

withnews

 AV出演強要問題は、政府が5月19日に今後の対策をまとめるなど健全化への取り組みが進む。AVの撮影現場とは、いったい、どのような場なのか。4月下旬、ある「大がかりな撮影」に同行、取材をした。現場で体調管理などに関する出演確認書を読み込む女優。そこには「強要」に関する項目そのものが含まれた。(朝日新聞経済部・高野真吾)

【画像】出演強要実態は? 間近で見たAV撮影現場「被害者から聞いているだけではない世界…」

モニターに苦悶の表情

 「はいっ、スタート!」

 演出を務め、カメラで映像も撮る安達かおる監督(65)の力のこもった声が、スタジオ内に響く。照明、音声の2人の男性が表情を引き締めると同時に、AD役の女性も身動きをとめた。

 少し前まで談笑していた女優2人が、一気に演技の世界に没頭する。カメラとつながるモニターには、女優の苦悶(くもん)の表情が映し出された。

「不適正AV」の「大がかりな撮影」

 4月下旬、甲信越地方の民家をスタジオにし、安達監督が創設したAVメーカー「V&Rプラニング」の撮影が行われた。

 撮る側は安達監督や同社の女性社員2人を含む男女合計9人。出演するのは20代のAV女優2人だ。安達監督によると、「久々の大がかりな撮影」だ。

 AV出演強要問題を受け、2017年4月、業界団体は新組織をつくった。その組織は、作品を審査する審査団体を経た映像製品のみを「適正AV」と呼びはじめた。

 一方、規制を嫌い審査団体に加盟せず、AVメーカー独自の審査で流通させる会社もある。「V&Rプラニング」は、独自の審査で作品をつくっており、新たな取り組みの定義からすると「不適正AV」の撮影現場になる。

課題だった「現場取材」

 この1年、私はAV出演強要問題について記事を書いてきた。若い人への問題の周知が必要だと考え、まずは被害者や被害者支援団体からの話をもとに記事を出し始めた。

 次第に問題を多角的に捉える材料を読者に提供したいと、AVメーカーなどで構成するNPO法人「知的財産振興協会」(IPPA)幹部のインタビューや、AVファン感謝祭のルポも出した。

 そうした中、「現場取材」は課題だった。

 昨夏、あるAVメーカー社長に複数回直訴したが実現はかなわなかった。AVファン感謝祭でAVメーカー10社の社長、社員らに取材依頼書を渡したが、同行取材どころか、インタビューですら受けてくれるところはなかった。

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最終更新:6/8(木) 7:00
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