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バベルの塔展「タラ夫」のすね毛が話題 必要あった?その背景には「これって日本だけ?」の企画展事情が

6/10(土) 7:00配信

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 東京都美術館で開催されている「バベルの塔」展のマスコット「タラ夫」が注目を集めています。自身も魚にもかかわらず口に魚をくわえ、ふっくらとした体からのびた足にはすね毛が…。思わず「なんのメッセージ性やねん」とツッコみたくなるその姿ですが、タラ夫に会えるイベントには多くの女性客が集まります。「タラ夫」が生まれた背景とは--、企画展の「裏方」に焦点をあてると、見えてきたのは展覧会における日本独特のシステムでした。(朝日新聞デジタル編集部記者・野口みな子)

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一体何者(魚)なんだ・・・

 「バベルの塔」とは旧約聖書の物語に登場する、架空の塔です。人間が天まで届く塔を建設しようとしたことが、神の怒りに触れ、人々が話す言語をバラバラして散開させられた、と言われています。

 さまざまな芸術家に作品のモチーフとして描かれてきた「バベルの塔」ですが、中でもピーテル・ブリューゲル1世の作品は、バベルの塔に住む人々の生活の息づかいが伝わるような緻密な表現が評価されています。

 そんなブリューゲルの「バベルの塔」が、24年ぶりに来日します。ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展では、ブリューゲルが影響を受けた芸術家たちの作品とともに、「バベルの塔」を描くまでの軌跡をたどります。

 「タラ夫」とは、この「バベルの塔」展のマスコットです。

 感情が読み取れない、うつろな瞳。丸みを帯びた魚の腹からのびた足には、剛毛そうなすね毛が生え、中高生を思わせる白い靴下をはいています。そして何故か魚なのに、魚をくわえている--、その姿は「ゆるい」というか、「不可解」。

 一体このマスコットは何者(魚)なのでしょうか。

すね毛、必要あった?

 タラ夫が生まれた経緯とはいったい…「バベルの塔」展を主催する朝日新聞社・文化事業部の担当者に聞きました。同じ会社の社員と言えど、展覧会の「裏方」の1人です。

--タラ夫って正直、「バベルの塔」に関係あるんでしょうか。

 関係あります。ブリューゲルが「バベルの塔」を描くに至るまでには、当時一大ブームを巻き起こしていたヒエロニムス・ボスの存在が欠かせません。

 ボスの作品には「モンスター」と呼ぶにふさわしい奇想天外な生物が多く登場します。その「キモかわ」な世界観に魅了され、ボスの死後も時代の画家がこぞってボス風のモンスターを描いていました。

 ブリューゲルも等しくその影響を受けてモンスターを描いていましたが、その技量が高く評価され、「第2のボス」と呼ばれていたこともありました。ブリューゲルの「大きな魚は小さな魚を食う」という作品には、足がはえた魚が…そう、これが「タラ夫」です。

--原作にはすね毛はないんですが…。

 ブリューゲルへのオマージュを込めて、展覧会のマスコットとしてオリジナリティを持たせています。

--これ、怒られないんですか…?

 それが、「バベルの塔」の所蔵元であるオランダのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館にも確認したんですが、「ベリーキュート!」って言われました。

 最初はイラストだけだった「タラ夫」ですが、パペットの「タラ夫2.0」も誕生して、今では着ぐるみの「タラ夫3.0」まで進化しています。

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最終更新:6/10(土) 7:00
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