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新しい財政目標「債務のGDP比」登場で財政再建は遠のく?

6/11(日) 8:20配信

THE PAGE

 政府の財政目標の基準が事実上、変わることになりそうです。新しい財政目標は経済状況に応じて柔軟に対処できるようになる一方で、財政支出に歯止めがきかなくなるという指摘もあります。

プライマリーバランス黒字化はかなり困難

 これまで財政目標の基準として使われてきたのは基礎的財政収支(プライマリーバランス)という考え方です。基礎的財政収支とは、国債の利払いと償還費を除いた歳出と、国債発行収入を除いた歳入に関する財政収支のことを指します。

 日本政府は基礎的財政収支について2020年度に黒字化するという公約を掲げており、内閣府では財政状況を検証するため年2回、中長期の試算を行ってきました。1月25日に公表された最新版の試算によると、2020年度における基礎的財政収支は8.3兆円の赤字となっており、黒字化はかなり困難というのが現実です。

目標そのものの信頼性が低下してしまう

 こうした状況から政府では、基礎的財政収支に代わって政府債務のGDP(国内総生産)比率の引き下げを新たな目標として設定することを検討してきました。6月2日に開催された経済財政諮問会議では、この目標を盛り込んだ経済財政運営の基本方針(いわゆる骨太の方針)の素案が示されました。

 現実的な状況を考えると2020年の基礎的財政収支の黒字化はほぼ困難とみてよいでしょう。ここで無理に財政緊縮を行ってしまうと景気を失速させる可能性がありますから、目標を一時棚上げするというのはひとつの考え方かもしれません。

 ただ、一度掲げた目標について達成できなかったからといって別の目標を掲げるということになってしまうと、目標そのものの信頼性が低下してしまいます。

 日本の財政状況については、過度に心配する必要はないとの意見もありますが、こうした議論の多くは、財政が破綻するのかしないのかという極端なテーマに基づいていることがほとんどです。

 日本の経済力を考えれば、財政が簡単に破綻することはあり得ませんが、今のままの債務水準を続けていると、金利が急上昇した場合、利払い費の上昇から緊縮予算を迫られるという大問題があります。景気対策などができなくなってしまいますから日本経済にとっては大きな打撃となります。

 その意味で、日本の財政再建が大きく後退したと市場で認識させることは決して得策ではありません。目標の期限となる2020年までには、もっとはっきりとした形で財政再建目標を示すことが重要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:6/16(金) 6:07
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