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千聖 『Can you Rock?!』は未来に向かっていくためのベストアルバム/インタビュー3

6/7(水) 15:15配信

エキサイトミュージック

 
■千聖/20th Anniversary Best Album『Can you Rock?!』インタビュー(3/4)

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ベストアルバムは過去の自分と未来の自分がくっついているような不思議な感覚

――今回のベストは、当時のオリジナルを相当重んじた録り直しですよね。そこもまた良かった点なんです。

千聖:アレンジはほぼ変えてないです。さっきも言ったように、ほら、僕は当時からナイスなセンスで生きているんで。

――久々にその言い方も耳にした(笑)。

千聖:ルー大柴みたいだけど(笑)。ナイスサウンド、グッドサウンドだなって、自信を持って今でもお届けできるんですよ。これはちょっと恥ずかしいなとか、ほぼないんですよ。もちろんオリジナルのアレンジを崩すこともできるけど、そうなるとオリジナルを知っているファンの人が、「ここ」ってところがなくなっちゃったりする時もあるじゃないですか。だから基本のラインはオリジナル曲とほぼ一緒。ギターソロもほとんど一緒ですよ。ただね、レコーディングをしていて思った、俺は今でも勢いあるね、すごいなって(笑)。やっぱ天才だな、同じフレーズでも当時より今の方が勢いがある! うん。……ってこのインタビュー、大丈夫かな(笑)。でもヴォーカルを録り直すのはちょっと大変でしたね。今の感じと声が違うんですよ。特に1stアルバムの曲なんて、当時は歌うことに慣れてないし、歌い方もまっすぐだし、抑揚も全くないところもあって、これは今の方が良いだろうとタカをくくってたんですが、歌い直して聴いてみたら、1stの頃のほうがいいなと思うところもあって、慌てて意識を変えて歌ったんです。当時の良さを意識しないと、過去に負けると思ったんですね。2ndアルバムの頃は技術的に今度はうまくなっちゃっていて、オリジナルの「Millennium」とかは僕の中では一番いい時だと思っていたんです。歌の技術も分かっていて、期待と希望に満ち溢れた意気込みも伝わってくる歌になっているので。この曲を最高傑作と思ってくれているファンの一人からも「オリジナルを超えられるんでしょうか?」とSNSで言われて。それはありがたいし非常に嬉しいんだけど、自分自身にも結構なプレッシャーになりましたね(笑)。

――シンガー千聖は手ごわかった?

千聖:シンガー板尾みたいだけど(笑)。過去の自分とこんなに対峙させられるとは思わなかったですね。もちろん全曲、録り直しってところで始めたから、過去と戦うのは分かっていたけど、こんなにとは思わなかった。当時、リアルタイムで応援してくれる人達から、やっぱ過去のほうがいいなって思われたくなかったんで。今回のベストアルバムは過去を懐かしむだけの作品では決してなく、むしろ未来に向かっていくためのベストアルバムだと思っているんですよ。作ってみて、自分の良さも分かったし、過去にリベンジできたところもあったし。あと当時は数々の一流ミュージシャンとセッションをさせてもらって培われたものもあるんですよ。そこからずっとこの世界でやってきたので、今ならいろんな人達に声を掛けられるなと。ソロの千聖ならコラボレーションやセッションもできると思って、LEVINちゃん(La'cryma Christi)とか長野典二くん(everset、Crack6、ほか)にもやってもらおうとか。20年前にソロを始めて以降に知り合った仲間達にも参加してもらったんですよ。10代の頃に同級生だった鮎貝健にナレーションやってもらったりとかね。岡本真夜さんに今、再びコーラスで歌ってもらったのも奇跡かなと思う。

――新たに書き下ろした新曲「Can you Rock?!」も入っていますが、どんな思いで曲に向かっていました?

千聖:新曲も入れようと思ってたんですが、どうしようかな?って思いながら作りました。仮歌段階では「I can Rock」だったんです。でも自分の中で、音楽だけじゃなくて精神的なモチベーションとか、あの当時の勢いを今でも持っているのかって感覚を、自分に対しても他の人に対しても問い掛けたかったので、タイトルを変えたんですね。アレンジの打ち込みも最近Crack 6でお世話になってる山田 巧くんにある程度作ったら丸投げしてみたんです。さらに攻撃的になって、すごいおもしろかった。こういうコラボがあるとソロプロジェクトってこうだよな!ってのはありましたね。

――ソロのツアーも決まってますが、ベストアルバムのリリースをきっかけに、ソロとしての歩みも再び始めるつもりですか?

千聖:Crack 6がある意味、ソロプロジェクトになってますけどね。今回のベストには3rdアルバム『SURF SIDE ATTACK!』(1999年11月)からの曲は「電撃ミサイル2000」しか入ってないけど、いわゆる千聖ソロ後半の3rdのあたりはCrack 6の原型になっていたりしたんですよ。ほとんど綺麗なシンセ音を使わないという新しいチャレンジに入っていったから。あと、当時の日本武道館ライブには、PVにも参加してもらったX-GAMEの選手達にも出てもらったりとか。今回のデザイナーは2ndアルバムと3rdアルバムの方なんですよね。アーティスト写真で右手にはめているグローブは、2ndアルバムの写真でもはめていたプロテクターの一部なんです。もう1パターンの写真で自分がかついでいるスケボーは、シングル『VENUS』でかついでたやつで。だから全てをリンクさせたベストアルバムなんです。

――自分が歩んできた道だけど、幸せだなと?

千聖:オッ、加山雄三かと思った(笑)。そういえば僕が初めて行ったコンサートは加山雄三さんですからね。こういうところは広げなくていいのか(笑)。いろんな音楽で培ってきたものを20代で開花させたところもあるんだけど、それを今の自分の立ち位置で冷静に見て、昔はいろんな人に助けてもらっていたところを、今度は自分でプロデュースしたらどうなるんだろうって。同じ曲なんだけど、なぜかなんか違うんですよね。新鮮味がある。過去の自分と未来の自分がくっついているような不思議な感覚を、ベストアルバムを聴きながら感じていますね。