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「原発停止で落ちた自己資本比率を20%に」 九電が経営計画を発表

6/7(水) 9:10配信

スマートジャパン

■「毀損(きそん)した財務基盤の回復が急務」

 2030年のありたい姿、それは「日本一のエネルギーサービス」を提供すること――。2016年4月の電力小売自由化、2017年4月にはガス小売全面自由化が始まるなど、エネルギー事業を取り巻く環境は変化をし続けている。九州電力グループ(九電)は、経営姿勢をさらに明確にし、経営革新への取り組みを加速させる必要があると考えた。

【原発の信頼性向上に向けた取り組み】

 そこで2017年6月、2021年度までの財務目標と2017年度の経営計画を発表した。財務目標の1つ目に強調したのは、自己資本比率を20%程度まで回復させることだ。2011年3月の東日本大震災に伴う、玄海原子力発電所(原発)と川内原発の長期停止により、2010年度に25.4%だった自己資本比率は、2014年度に9.0%と2桁を割った。

 2015年度に10.1%、2016年度には12.0%まで回復したが、九電は「競争環境が激化する中で安定的に経営を行うためには、毀損(きそん)した財務基盤の回復が急務である。このことから目標とする自己資本比率を2021年度末に20%程度とした」と語る。

 他にも2017~2021年度平均の経常利益を1100億円以上、海外電気事業や再生可能エネルギー事業をはじめとする成長事業への累計投資4200億円を目指すという。なお2016年度の経常利益は940億円、2012~2016年度累計の成長投資は2880億円である。

■原発の安全性・信頼性向上に向けた取り組み

 目標達成の取り組みとして、九電は「九州内のエネルギーサービス事業」「成長分野における事業」「強固な事業基盤」の3つを掲げた。その一部を紹介する。

 エネルギーサービス事業の1つに挙げたのは、原発の安全性・信頼性向上に向けた取り組みだ。九電は「福島第一原発のような事故を決して起こさない固い決意で、新規制基準を踏まえて、原子力の安全確保に万全を期すための対策を実施している」と語る。

 新規制基準は自然災害に対する設計基準が強化されたため、火山活動の定期的なモニタリングや、竜巻から重要な設備を守る対策を実施。具体的には、発電所から半径160kmの範囲にある火山と九州のカルデラを調査した。火山活動をモニタリングし、定期的に評価を行っている。また日本で発生した最大の竜巻(92m/秒)を踏まえ、最大100m/秒の竜巻を想定した資材保管用コンテナの固縛や保管庫の設置なども行ったとする。

 これらの対策により、川内原子力発電所は新規制基準に合格して、1号機は2017年1月、2号機は同年3月に通常運転に復帰した。鹿児島県知事からの要請による熊本地震を受けた特別点検においても、1・2号機とも異常は確認されなかったという。玄海原子力発電所3・4号機に関しても、早期の再稼働に向けた取り組みが進められている。

 エネルギーサービス事業では他に、ガス小売事業への本格参入やオール電化の促進、燃料調達力の強化、情報通信サービス・生活サービス事業への展開などを挙げた。

■IPP事業はアジアを中心に

 成長分野における事業では、特に海外電気事業の展開、アライアンスによる九州以外での自社電源開発、再生可能エネルギーに関するワンストップサービスに注力する。

 海外事業で軸となるIPP(Independent Power Producer)事業では、市場の成長性が高いアジアを中心にガスや石炭火力、地熱を重点分野に、優良案件の開発と参画に取り組むという。2017年3月にはインドネシア サルーラ地区で、地熱IPPプロジェクトの初号機が営業運転を開始した。これは地熱資源開発から発電まで一貫して開発し、30年間インドネシア国有電力企業に売電する事業だ。出力は32万kW(キロワット)。九電が25%出資している他、伊藤忠商事、メドコパワー、国際石油開発帝石、オーマットが参画している。2017年中に第2号機、2018年には第3号機が運転を開始する予定である。

 九州域外での自社電源開発に向けては、出光興産と東京ガスと共同で千葉袖ケ浦エナジーを設立。千葉県袖ケ浦市での石炭火力発電所開発に向けた検討と環境影響評価の手続きが進められている。総出力は200万kW、燃料は石炭(バイオマス混焼なども検討)である。1号機が2025年度、2号機が2026年度に運転を開始する予定だ。

 再生可能エネルギー事業は、2014年に設立された九電みらいエナジーが推進している。福岡県豊前市で木質バイオマス発電事業に他2社と着手した他、福岡県北九州市の洋上風力発電施設の設置・運営事業者の公募においても、九電みらいエナジーなど5社で構成されるコンソーシアムが優先交渉者に選定されたと2017年2月に発表した。

 強固な事業基盤構築に向けては、ICTによる業務改革の推進や働き方改革などを挙げた。なお経営計画の詳細は、九電のWebサイトから閲覧することができる。