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ハリルの心をつかむのは新顔?ベテラン?見どころ満載の日本代表対シリアを展望

6/7(水) 14:54配信

GOAL

13日の2018年ロシアワールドカップアジア最終予選・イラク戦(テヘラン)に先駆けて行われる7日の親善試合・シリア戦(東京)は、日本代表にとって重要なテストの場。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督も3日のシリア対サウジアラビア戦をチェックするなど準備を進めている。「シリアはイラクに似ているチームだ。グループAでプレーオフに回る可能性がまだある。フィジカルの強さとアグレッシブさを備えた相手だ。そして、守備のデュエルがものすごく強く、最終予選では3失点しかしていない。我々にとってかなりいいテストになるのではないか」と今回の代表メンバー発表会見でも語っていたが、仮想・イラクとして絶好の相手と言えそうだ。

すでに日本代表は欧州組だけを集めて8日間の強化合宿を実施。コンディションのばらつきをなくす作業に努めた。シーズン終盤にフル稼働した久保裕也(ヘント)や香川真司(ドルトムント)らもコンディションは上向きだ。ハリルホジッチ監督がどの布陣を採るか、誰をスタメンに送り出すかが注目されるが、2日前の練習を見る限りでは、3月のUAE戦(アルアイン)と同じ4-3-3で戦うことが濃厚となった。前線の構成は1トップ・大迫勇也(ケルン)、右サイド・久保、左サイド・原口元気(ヘルタ)。中盤は香川と今野泰幸(G大阪)を左右のインサイドハーフに配し、アンカーに山口蛍(C大阪)を入れる形が有力視される。

そこで気になるのが、4日のジュビロ磐田戦で左足小指骨折から2カ月半ぶりに復帰した今野の状態。磐田戦では後半15分からピッチに立ち、30分以上プレーしたが、まだ本調子には程遠い印象だった。本人も「0−3で負けてる状態で、攻撃を活性化してくれと言われて入ったのに、流れを変えられなかった。終わってからもショックだった」と自分に厳しい評価を下していただけに、UAE戦のような傑出した働きができるかは未知数だ。だからこそ、今回は香川や山口ら周囲がしっかりカバーして、攻守両面を機能させていくしかない。「自分はドルトムントでもやってるポジションではあるんで楽しみ」と香川は日頃の感覚を代表に持ち込みながらプレーするつもりだ。彼ら中盤が連動しなければ、久保や原口らのゴールにはつながらない。今回はそこに注目しながらまずはゲームを見極めたい。

守備陣も西川周作(浦和)と森重真人(FC東京)の代表落選という大きな出来事があっただけに、陣容の変化が注目される。最終ラインは右から酒井宏樹(マルセイユ)、吉田麻也(サウサンプトン)、昌子源(鹿島)、長友佑都(インテル)の4枚、GKは川島永嗣(メス)が出るだろう。

昨年末のFIFAクラブ・ワールドカップ、レアル・マドリー戦での好パフォーマンス以来、昌子の成長ぶりは目を見張るものがある。先々を考えても若い世代のセンターバックに経験を積ませることは肝要だ。常勝軍団のディフェンスリーダーも国際Aマッチ出場はまだ2試合。代表ではなかなかチャンスを得られなかったが、本人の中には「十分やれる」という意識はある。その勢いを持ち込んでもらえれば最高だ。

3月のタイ戦(埼玉)の時は守りが非常に悪く、4-0という結果が信じられないほどだった。同じような内容で戦っていると、それこそイラクに食われないとも限らない。シリア戦でしっかりと組織的守備を取り戻し、相手を零封すること。そのうえで、点を取るべき面々がゴールして、イランの地に向かわなければならない。次の大一番に弾みがつくような内容と結果を求めたいものだ。

イラク戦に向けて、スタメン組以外にも要チェックの選手たちがいる。その筆頭が今季セリエAでわずか8試合出場に終わり、3年半所属したACミランを退団することが決まった本田圭佑だろう。欧州組合宿には6月1日から合流して4日間の調整を実施。「フィジカル的には問題はないが、感覚的なものはやってみなければ分からない。そこは(3月の2連戦と)変わらない」と本人も言うようにインテンシティーの高いゲームでどれだけ本来の力を出せるかは未知数だ。久保に右FWの定位置を奪われた格好にはなっているが、本田もまだまだ戦力でいてもらわなければならないと指揮官も考えているはず。シリア戦ではどこかで出場機会を与え、状態を確認するはずだ。そこも見逃せないポイントの一つになってくる。

右足首負傷が癒えつつある乾貴士(エイバル)の動向にも期待が寄せられる。5月21日のカンプノウでのバルセロナ戦で2ゴールを叩き出すという偉業を達成したテクニシャンへの期待は日に日に高まっている。目下、日本代表左FWは原口の定位置になっているが、乾は細かい技術やアイディアを駆使して相手をかわしたり、フィニッシュに持ち込む力がより高い。彼をジョーカーとして起用できるメドがつけば、イラク戦で苦戦を強いられた時の安心材料が増える。

「自分が(ハリル)監督になって呼ばれたのは、最初の(2015年3月のウズベキスタン戦=東京)と今回だけなんで、まだ何とも言えないけど、楽しくやれればいいかな」と本人は自分らしさを失わずにプレーするつもりだ。「エイバルで2年やってボールを失う回数も減ったし、ディフェンスの部分での戦術理解度も高くなった」と課題だった守備面も自信を得た様子。うまく行けば原口との併用も可能になるかもしれない。絶好調の乾には好機をつかんでもらいたい。

サプライズ招集の加藤恒平(ベロエ・スタラ・ザゴラ=ブルガリア)、29歳で初代表に抜擢された宇賀神友弥(浦和)ら新戦力に出番が与えれるかどうかも気になる点。特にJ1プレー経験のない加藤は日本代表の面々と同じピッチでプレーするのが初めてとなる。「自分は新しい環境に慣れるのが得意。ここまで練習してきて守備の部分は全然やれるなという感覚がある」とポジティブなコメントを残しているだけに、指揮官も本当にどれだけ戦えるのかを見てみたいと考えているはず。シリア戦2日前の練習では山口と同じアンカーに入っていたため、交代があるとすればこの位置だ。が、重責を伴うポジションだけに新顔を起用できるチャンスがあるかどうか分からない。全ては状況次第だろうが、出場機会が与えられれば異色のキャリアを積んできた男の真価が問われることになる。

テスト項目の多いシリア戦になりそうだが、肝心なのはイラク戦につながる成果を残すこと。選手たちには「内容ある勝利」を貪欲に追求してほしいものだ。

取材・文=元川悦子

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最終更新:6/7(水) 14:54
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