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蛇神伝説、次世代に 水戸の住民団体がモニュメント設置へ

6/7(水) 16:00配信

茨城新聞クロスアイ

住民団体の「朝房山・風土記くれふし山の会」(河原井忠男代表)が、朝房山(標高201メートル)がよく見える水戸市谷津町の高台に、常陸国風土記に登場する蛇神伝説を題材にした石のモニュメントや石碑を今秋にも設置する。同会は「歴史的価値を次世代に伝承したい」と準備作業を進めている。

朝房山は水戸市と笠間市にまたがり、山頂部分は笠間市域にある。常陸国風土記には〓[日偏に甫]時臥(くれふし)の山と記されている。

風土記には、こう記載されている。「山近くに兄と妹が住んでいた。妹が一人の男と夫婦となり身ごもった。やがて生まれたのは蛇だった。蛇を神の子と思い土器に入れて安置した。ところが一夜で大きく育ったため、別の容器に入れ替えた。しかし大きくなり入れる容器がなくなったため、妹は天の神の所に戻るよう諭した。蛇は従者を求めたが断られたため、怒って兄を殺そうとした。驚いた妹がかめを投げ付け、蛇は霊力を失い天に戻れなくなり、山の神となって長くとどまったという」

同会は2003年に発足。探勝会や山道の草狩り、古老からの伝承の聞き取りなどを行ってきた。05年に水戸西流通センター入り口の高台に、木製の案内板などを暫定的に設置した。現在は老朽化が進み、文字が読み取れない状態になっている。

河原井代表(70)=水戸市木葉下町=は「昭和30年代まで朝房山頂では3月の酉(とり)の日に盛大な祭りがあった。屋台や相撲大会がありにぎわった」と振り返る。「農業が衰退し働きに出る人が増え、山の歴史を語れる人が減っている」と指摘する。

今回の計画は碑を恒久的に残すため、石碑や石のモニュメント、ステンレスの案内板を設置する。石碑の文字は書家の川又南岳さんが担当する。

モニュメントは桜川市の石彫家、浅賀正治さんが手掛ける。開口部を設け、朝房山を望めるようにする。浅賀さんは「モニュメントは風景や歴史に額縁を掛ける効果があり、歴史を訴える力がある」と話す。水戸市木葉下町で産出された御影石を使用した。

同会は1口5万円の協賛金を集める活動を続けている。河原井代表は「1300年前の大和朝廷が編さんを命じた風土記に蛇神伝説の記載があるのは貴重な財産だ」と重要性を訴えている。 (清水英彦)

茨城新聞社