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安価で高容量「アルミニウム空気電池」、世界初の成果で充放電を可能に

6/7(水) 10:02配信

スマートジャパン

 冨士色素は電解質にイオン液体系電解液を用いたアルミニウム空気二次電池を開発したと発表した。空気極に非酸化物セラミック材料を用いることで、電気化学反応中に電池内部に蓄積し反応を阻害する水酸化アルミニウム、酸化アルミニウムなどの副生成物を抑制。負極、空気極の両方において副生成物の生成を抑制することができたのは世界初であり、アルミニウム空気電池の二次電池化にめどがついたとしている。

 現在広く利用されているリチウムイオン電池は、性能が理論上の限界に近づきずつある。そこでより高容量な金属空気電池の実用化に期待がかかっている。既に亜鉛空気電池などが実用化されているが、それを上回る性能を持つ金属空気電池の1つとして開発が進んでいるのが、アルミニウム空気電池だ。

 アルミニウム空気電池は、理論的にリチウムイオン電池の数十倍の電池容量が実現できるとされている。アルミニウムは最も地球上でリサイクルされている金属であり、資源量やコスト面での優位性も高い。ただし、従来のアルミニウム空気電池は使い切りの一次電池しか実現していない。そこで、充放電が可能な二次電池化できる技術の開発が期待されている。

 負極活物質であるアルミニウムは正極(空気極)で酸素と結び付き、酸化アルミニウムや水酸化アルミニウムとして沈殿する。これにより電気化学反応が阻害されてしまう点が、二次電池化を阻む壁となっていた。こうした反応を抑制するため、イオン液体系の電解液を用いるアルミニウム空気電池が研究されているが、負極では酸化アルミニウムや水酸化アルミニウムの生成が抑制されるものの、空気極においてはこれらの副生成物が蓄積してしまい、完全なる二次電池化には至っていなかった。

 今回、冨士色素は空気極において窒化チタンもしくは炭化チタンを用いると、この酸化アルミニウムの生成が抑制されることを発見。空気極側においても副生成物の生成を抑制でき、完全なる二次電池化へのめどがついたとしている。実際に電解液にイオン液体系を、正極に窒化チタンや炭化チタンを用いたアルミニウム空気電池を作成し、充放電カーブを測定すると、400mAh/g以上の電池容量を安定的に示した。

 非酸化物セラミック材料が酸化アルミニウムの生成を抑制する理由ははっきりと分かっていない。ただ、従来の炭素系の空気極を用いた時は、炭素がカーボネート基として存在し、これが何らかの反応で酸化アルミニウムなどの副生成物になるのに対し、窒化物、炭化物を空気極に用いた場合は炭素がヒドロキシル基で存在する。これが副生成物の生成を抑制している可能性があるという。

 冨士色素は今回開発した新しいアルミニウム空気二次電池の製品化に向けた試作も進めている。今後は他の企業や研究機関との連携、協業も模索し、商品化に向けた取り組みを加速させる方針だ。