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焦点:見直される欧州投資、英国は「日本的」位置付けか

6/7(水) 14:03配信

ロイター

[ロンドン/ニューヨーク 7日 ロイター] - 世界の投資家は今、欧州への投資を根本から見直し、英国と欧州大陸を切り分けて考え始めている。英国が欧州連合(EU)離脱交渉を控えて不安に包まれる一方、欧州大陸の経済には期待が広がっているためで、「英国を除く欧州」が資産クラスとして確固たる地位を築いた。

英国は長らく、欧州投資の小さくない構成要素と見なされてきた。欧州の金融センターというロンドンの役割に加え、EUの自由貿易およびモノと人の自由な移動が育んだ深い絆ゆえだ。

英国のEU離脱に伴い、そうした前提が見直しを迫られている。

年初来の上場投資信託(ETF)の資金フローを見ると、そうした変化はとっくに始まっている。

トムソン・ロイター傘下のリッパーのデータによると、需要が最も強いのは英国を除く欧州株のETFで、その中で最大の「iシェアーズ・MSCI・ユーロゾーンETF」<IEUX.L>には、年初から差し引き39億ドルが流入した。

一方で、英国を含む欧州株のETFからは資金が流出しており、欧州大陸だけに投資したい向きが、わざわざ英国株を避けようと行動を起こしているのが分かる。

「英国を除く欧州」という投資概念は目新しいものではないが、欧州全域に投資する商品に比べれば品揃えが限られている。

リッパーによると、欧州全域の株式に投資する投資信託は世界中で1800本を超え、運用資産は計2500億ドル超に上る。

これに対し、英国上場株を除く欧州株に投資する投信は150本強、計500億ドルにとどまっている。

とはいえ、昨年の英国民投票でEU離脱が決まって以来、両者の乖離(かいり)は著しい。

ジュピター・アセット・マネジメントでグローバル株式ファンドを運用するスティーブン・ミッチェル氏は「英国と欧州大陸はもともと別個だが、ブレグジット(英国のEU離脱)によってさらに分離が際立ってきた」と説明する。

「米国の投資家は国民投票の2週間後、つまり昨年7月には英国を逃げ出した。ブレグジットを巡る不透明感を嫌ってのことだ。しばらくは、こうした状態が続くだろう」とミッチェル氏は続けた。

<個人消費にも不安>

ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を見ても、英国と欧州大陸の乖離は鮮明になっている。

フランスの大統領選後、ユーロ圏の政治リスクは和らいだ。これに対して英国はほんの先週まで、8日の総選挙での与党圧勝が既定路線とされていたのに、今では戦況が混沌としてきた。

その上、英国では個人消費の持続性を巡って不安が広がる一方、欧州大陸の見通しは明るいようだ。

ブラックロック<BLK.N>の首席市場ストラテジスト、イザベル・マテオスイラゴ氏は「欧州大陸との対比が最も際立っているのが個人消費だ。深刻度合いを数値化するのは難しいが、国民投票以来、英国の消費者が貯蓄を切り崩し、貯蓄率が過去最低になっているのは確かだ」と話した。

<英国は日本的に>

英国は今もなお、世界の投資家にとって主要な市場だ。豪鉱業大手リオ・ティント<RIO.L>、英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル<RDSa.L>、英蘭系日用品大手ユニリーバなど世界の大企業に投資できる上、新興国市場に強い金融大手HSBC<HSBA.L>を擁していることも、欧州大陸には見られない特徴だ。しかも、ユーロ圏の企業は市場としての英国に大きく依存している。

投資の世界において英国はアジアにおける日本のような位置付けになるかもしれない、との指摘もある。

SVMアセット・マネジメントのマネジングディレクター、コリン・マクリーン氏は「ブレグジットに伴い、英国は少し差別化されてくる。少し日本的になる。日本はアジアの一部だが、別個に調査するに値するほど(その他アジアとの)違いが大きい」と話した。

(Vikram Subhedar記者 Trevor Hunnicutt記者)

最終更新:6/10(土) 2:36
ロイター