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相撲界、期待の新星は寡黙なスノーボーダー

6/8(木) 16:02配信

スポーツ報知

 大相撲の夏場所が終わった。横綱・白鵬が1年ぶりに優勝(しかも全勝)し、関脇・高安は大関の座を射止めた。2人の活躍に隠れた形となったが、新入幕・阿武咲の敢闘賞も見逃せない。千秋楽の三賞選考委員会で選考委員19人のうち18人が賛成して受賞が決まった。今場所の幕内平均年齢は28・1歳。20歳で挙げた10勝は大したもの。敬意を表して紹介したい。

 読み方は「おうのしょう」。師匠の阿武松(おうのまつ)親方(元関脇・益荒雄)の名前を譲り受け、地元・青森の恩師の「土俵上で花が咲くように」との願いが込められている。雪国の生まれとあってウインタースポーツが得意。スキー、スノーボードもかなりの腕前で「昔から体重の割に動きが速く、バネがあるのはそのおかげ」だという。

 今場所の活躍で順調に出世しているように見えるが、そうでもない。2015年の初場所で、昭和以降10番目に若い18歳5か月で新十両に昇進した。そこから幕内まで2年と2場所。十両時代は8勝、9勝がほとんど。何度も“もがく”姿を見てきた。

 18年前の大関・千代大海(現九重親方)を思い出した。千代大海も19歳で十両に上がった後に2年間、足踏み。幕内に上がると破竹の勢いで大関に駆け上がった。四つ相撲をとれる器用さを持ちながら、小さくまとまらないために突き押し相撲を極めようと努力する姿も重なる。九重親方に阿武咲の将来性を聞くと「十分に可能性はあるよ。押し相撲って四つ相撲とは別の競技だから、アドバイスできるならしてもいい」と期待していた。

 場所中、阿武咲は勝っても負けても口数が少ない。ただ、表情には日ごとに自身が満ちていき、新入幕会見では盛んに「男になりたい」という言葉を繰り替えていた。三賞を受賞しても「男になった」と満足はしていないだろう。本人の言葉を借りれば「もっと上があるから」だ。賜杯を抱き、伝達式で昇進の口上を述べる日まで「男になった」とは認めないだろう。(記者コラム・網野大一郎)

最終更新:6/8(木) 16:03
スポーツ報知

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