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秘境の湯9カ月ぶりに再開 大雨災害乗り越え 北海道鹿追町・かんの温泉

6/7(水) 14:14配信

十勝毎日新聞 電子版

 昨年8月の台風10号の影響で休業していた鹿追町然別の「かんの温泉」が12日、9カ月ぶりに営業を再開する。鹿追市街からつながる道道然別峡線が寸断され、数十トンの土砂が施設に流入したが、延べ700人以上が作業に当たって復旧した。運営する鹿追ホットスプリングスの勝海敏正社長(61)は「9カ月は長かったが、二度と温泉を閉じるわけにはいかないとの思いで再開を目指した。気軽に立ち寄ってほしい」と話し、変わらぬ秘境の雰囲気で愛好者を出迎える。

 同温泉は2008年に閉鎖されたが、同社が購入して14年8月にリニューアルオープンし、人気を集めていた。

 12日以降、営業時間は休業前から変更し、正午から午後9時まで。日帰り温泉の他、宿泊も再開する。温泉の湯量や成分に変化はないという。個性的でひなびた温泉を目指すため、休業中に特色づくりを検討した勝海社長は「十勝産食材を使った、より家庭的な料理を提供していきたい」と話す。

 台風10号の大雨が襲った昨年8月30日は休業日で宿泊客はいなかったが、従業員3人が孤立し、3日後にヘリコプターで救助された。山林に囲まれた施設は3方向から土砂が流れ込み、壁や浴槽が被害を受けた。堆積した土砂の高さは2メートルにも達した。道道然別峡線は通行止めとなり、4月まで重機が持ち込めず、施設復旧は思うように進まなかった。

 それでも電源設備などは無事で、被災直後から復旧に向けて歩み出した。防災対策のため壊れた壁はコンクリートで補強。4月下旬からは土砂の除去作業が本格化し、温泉が通る配管の交換や浴場清掃などを急ピッチで進めた。

 昨年8月30日に保健所から引き取り、従業員と共に被災した雄の子犬「レイン坊」は順調に成長し、12日に番犬としてデビューする予定。道道然別峡線は、9日午後1時に通行止めが解除される見込みだ。(池谷智仁)

十勝毎日新聞