ここから本文です

英北東部・サンダーランドで高まる投資機運、日産が19年から新型車生産

6/7(水) 12:30配信

日刊工業新聞電子版

■最大は日産、10社と交渉中

 英国北東部のサンダーランド市で、自動車産業への投資機運が高まっている。日産自動車による2019年からの新型車生産開始を控え、自治体のサプライヤー誘致活動のほか、進出企業で投資を拡大する動きも出ている。一方、英国は19年にも欧州連合(EU)離脱「ブレグジット」を予定しており、事業環境の先行きには不透明感が漂う。

 「土地や優れた人材に加えて、我々が企業と密に連携を築くことで高い競争優位性を保っている」。サンダーランド市議会のアイリーン・ルーカス最高責任者は、現地の投資環境に胸を張る。

 同市では現在80社以上の海外企業が進出。そのほとんどを自動車関連企業が占め、強固なサプライチェーンを構築している。また18年後半には、日産の工場の隣接地に建設中の大型工業団地「IAMP」が開設予定で、自動車関連企業の一層の進出が期待される。

 進出企業の中で最大の自動車メーカーが日産だ。スポーツ多目的車(SUV)「キャシュカイ」や電気自動車(EV)「リーフ」など年間約50万台を生産し、8割を輸出している。また19年にはSUVの「キャシュカイ」と「エクストレイル」の新型車の生産を始める計画。日産と仏ルノー共通の中型車向け設計手法「コモンモジュールファミリー(CMF)」を適用し、効率生産を図る。

 日産は今後もグローバルでCMFの適用を拡大する方針。中でもサンダーランド工場を、欧州での中型車向けCMFの中核に位置づける。日産ヨーロッパ購買担当副社長のジュディス・リチャードソンは「サプライヤーにとってもビジネス機会が広がる」と、波及効果を強調する。

 現地企業の投資意欲も旺盛だ。バンテックヨーロッパは16年に大規模部品倉庫を近隣に新設。今後も「イノベーションのために新たな投資を検討する」(マーティン・ケンダル社長)予定だ。カルソニックカンセイも引き続き設備投資を計画する。また新規進出企業についても「現在10社ほどのサプライヤーと交渉中」(サンダーランド市議会)という。

 最大の懸念材料はブレグジットの動向だ。ルーカス最高責任者は「関税などの貿易環境の行方は正直わからない」と言及。離脱により英国―EU間の輸出入に関税が生じれば、進出企業には戦略の練り直しの必要性も出てくる。

 日系完成車メーカーではトヨタ自動車やホンダも英国に工場を構える。ホンダの倉石誠司副社長は「(英国が)今までと変わりなくEUとの関係性を保てるかがカギ」と見据える。進出企業には、離脱交渉の行方を注視しつつ、その後の事業環境を見据えた戦略が求められる。