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不死のヒーローの“もろさ”を描く。『LOGAN/ローガン』監督が語る

6/7(水) 7:00配信

ぴあ映画生活

ヒュー・ジャックマンが人気キャラクター“ウルヴァリン”を演じる最後の映画『LOGAN/ローガン』が公開され、好評を集めている。監督と脚本を務めたのは、前作『ウルヴァリン:SAMURAI』も手がけたジェームズ・マンゴールドで、新作ではジャックマンと綿密に話し合いを重ねて、不死のヒーローの“もろさ”を描きだしている。

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ジャックマンは2000年から演じ続けてきた“ウルヴァリン=ローガン”の最終作のメガホンを誰に託すのか? 答えは『…SAMURAI』の撮影中に出ていたようで、撮影完了の3か月後には、ジャックマンと監督のミーティングが開始されたという。「私が希望したのは、新作を個人的で親密なテイストのある、大人の観客を対象にした映画にしたいということでした」

しかし、ウルヴァリンといえば、子どもにも大人気の“X-MEN”のメンバーだ。そこで彼らはまず、スタジオと、新作の“レーティング”をどこに設定するのか、話し合いをもった。「私はこの映画をアメリカで“R指定”にしてほしいと願い出ました。そうすることで、ローガンのもつ暴力的な側面をビジュアルで表現できると思ったし、子ども向けのマーケティングが不要になることで、大人がじっくりと楽しめる脚本を執筆することができます。これが本作の大きなカギでした。結果として、スタジオがR指定になることを許してくれたことで、私の創作のスペースは大きく広がりました」

マンゴールド監督の要望通り、本作はR指定(日本ではR15+で公開)で製作され、ハードなバイオレンス描写も登場するが、彼の中では激しい暴力を描くことと、本作が追求するテーマは、不可分なものだったようだ。「偉大な西部劇やサムライ映画は、いつも暴力に対する敬意があり、暴力を行使すれば、必ず何らかの代価を支払わなければならないことが描かれています。この映画でも重たい暴力が描かれますが、そこには必ず、暴力の代償を描くようにしました。映画によっては、暴力や破壊を描きながら、登場人物が傷ひとつ負っていない場合がありますよね? 私はそういう描写の方が不道徳だと思うのです。そういう映画は若い人に、人間は不滅なのだと説いているようです。私は『ローガン』を通じて、人生というのはもっと“もろい”ものだと伝えたかったのです」

かつて“不滅”の肉体をもっていたウルヴァリンは、本作では老いて、治癒能力も衰えており、かつてのスーパーヒーローの姿はそこにはない。映画の中で彼は、偶然に出会った不思議な力を持つ少女を守るために最後の旅に出るが、マンゴールド監督はあえて、ローガンが不滅のヒーローとして大活躍する“X-MENのコミック”を劇中に登場させている。「彼がコミックを手にするシーンはどういう意味があるのか? とたくさん質問されました。ローガンはヒーローだった過去を単に否定しているのか、それとも多くのスターがそうであるように自身の過去を少し誇張して記憶しているのか、それとも過去は過去として認めつつも今の自分はそうではないと思っているのか……私はその質問にはあえて答えません。観客それぞれに考えてほしいと思っています。私は、映画というのは観客に“問いかけ”をすることが最も大事だと思っていますから」

ローガンは不死の肉体を駆使して多くの人を守ったが、不死であるがゆえに様々な悲しみを背負ってきた。そんな彼が老いて、衰えて、不死でなくなった時、どんな物語が描かれ、どんな“問いかけ”がなされるのか? マンゴールド監督は「ストーリーテラーとして細部までこだわって描きましたらから、観客の方それぞれが作品に共鳴して、考えてもらえるとうれしいです」と笑顔を見せた。

『LOGAN/ローガン』
公開中

最終更新:6/7(水) 7:00
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