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脳細胞培養、28日に短縮成功 神経疾患治療法開発に弾み 九大グループ、iPS活用

6/7(水) 9:59配信

西日本新聞

 九州大大学院医学研究院の中島欽一教授らのグループは、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作成した脳細胞の一種「アストロサイト」の培養期間を28日に短縮することに成功した。これまでは200日以上かかっていた。アストロサイトのメカニズム解明が進めやすくなり、レット症候群や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病などの神経疾患で治療法開発が期待される。

 6日付の米科学誌ステム・セル・リポーツ電子版に発表した。アストロサイトは、神経細胞に栄養を補給し、学習・記憶能力にも影響を与えるとされる。生体からの採取が倫理的に難しく、iPS細胞から作った神経幹細胞を分化させる方法が注目されている。

 グループは、胎児の脳が母体内の低酸素の環境下でアストロサイトに分化することに着目。通常の酸素濃度の10分の1に当たる2%で、ヒトの神経幹細胞を培養したところ、28日間で分化を確認した。通常の酸素濃度では200日以上かかっていた。

 さらに、てんかんや知的障害を伴う指定難病、レット症候群の患者のiPS細胞から神経幹細胞を作り、低酸素で培養したところ、28日間でレット症候群の病態を表すアストロサイトが生成された。これを用いれば、患者の体に負担なく、さまざまなレット症候群の治療法を試せるという。

 中島教授は「他の神経疾患にも低酸素培養を応用できれば、治療法開発に大きな弾みになる」と話している。

=2017/06/07付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:6/7(水) 9:59
西日本新聞