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三菱重工、財務基盤底上げに不動産 工場賃貸で数百億円-新技術・MRJ開発の原資に

6/7(水) 12:46配信

日刊工業新聞電子版

■施設壊さず継続利益、将来投資へのキャッシュ生み出す

 三菱重工業が、不動産などの資産を有効活用するアセットマネジメントを拡大している。稼働率の低い工場などを外部に賃貸する取り組みに着手する。遊休資産を売却して一時利益を得るのではなく、継続的に利益やキャッシュフローを創出する仕組みを構築。アセットマネジメントの推進により、数百億円規模を生みだす方針だ。国産小型ジェット旅客機「MRJ」の開発遅延など諸課題が山積する三菱重工。保有資産の価値向上で、財務基盤を底上げする。

 三菱重工は現在、国内で30近い生産拠点を構える。近年、M&Aや他社との事業統合などで工場数が増加。「すべてを自社で使い切るのは難しい」(小口正範常務執行役員兼最高財務責任者〈CFO〉)のが実情だ。

 事業規模に対して固定資産の過剰感が顕著となり、固定資産の有効活用で売上高をどれだけ上げているかを示す固定資産回転率は、2013年をピークに下落。固定資産のスリム化が課題となっている。

 既存工場はインフラが充実しているほか、環境規制もクリア。港湾や高速道路のインターに近い好立地な物件も多い。三菱重工は日本での生産を検討する外国企業向けや、物流倉庫として貸し出すことなどを想定する。

 工場を賃貸することで安定的な賃料収入が期待できるほか、売却に向けた建屋や設備の撤去費用などの持ち出しも必要ない。「施設を壊すのではなく効果的に使うことでキャッシュを生み出す」(同)考え。

 同社は17年度を最終年度とする中期経営計画で、総額2000億円程度のキャッシュフロー創出を掲げた。横浜市内のオフィスビル売却や不動産子会社の株式売却などで、すでに目標を達成。大型客船の損失やMRJの開発費増加の一部を吸収した。

 小口CFOは一連のアセットマネジメントについて「損失が出たから資産を売却して、穴埋めしているわけではない」とクギを刺す。「財務改善を進めて将来投資に備える」のが狙いで、M&Aや新事業・新技術の開発など、成長に向けた原資に位置づける。

 三菱重工は20年3月期に、売上高5兆円(18年3月期見込み比2割増)の目標を掲げた。火力発電向けガスタービンや自動車用過給器(ターボチャージャー)などが増収要因となるが、「5兆円をより確実とするにはM&Aも必要」(宮永俊一社長)。ここでも、アセットマネジメントの効果が期待できそうだ。