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「御用放送作った社長が去らねば公営放送は戻ってこない」

6/7(水) 18:00配信

ハンギョレ新聞

報道の惨事・不当懲戒の責任問う 解職者復職闘争にも乗り出す 「国会係留中の言論掌握防止法可決など 支配構造改善せねば天下りは防げない」

■ KBS・MBCの構成員、一斉に社長・理事長の退陣要求
 「憲政史上最も非正常的だったであろう政権に指名されて「御用放送」という汚名を着せた当事者が突然新しく生まれかわって国民に奉仕する公営放送の主役になりますと言ったら、誰が信じますか?」

 KBS(韓国放送)の20年次以上になる古参級の記者が24日、社内の掲示板に実名で書いた文の一部だ。「当事者」とはコ・デヨンKBS社長である。この文だけではない。22日からKBSの社内掲示板には前職KBS記者協会長、20年次以上の記者71人、 KBSのPD協会などコ社長の退陣を要求する個人・団体の声明が相次いで上ってきた。

 MBC (文化放送)の状況も似ている。25日、コンテンツ製作局所属のPD29人は6月抗争30周年のドキュメンタリーを作っていたキム・マンジンPDの不当懲戒を糾弾して、キム・ジャンギョム社長の退陣を求める声明を出した。それに先立って22日には全国言論労組MBC本部が会社側の不当懲戒を糾弾してキム社長の退陣を要求するプラカードデモをした。労組はまたキム・ジャンギョム社長とコ・ヨンジュ放送文化振興会理事長の退陣及び解職させられたメディア関係者の復職闘争の開始を宣言した。

■ 国民にそっぽを向かれる「国民の放送」
 公営放送の構成員が社長、理事長、核心幹部陣の退陣を要求する理由は三つに要約することができる。 ▽一部の社長・理事長などの選任過程に「朴槿恵(パク・クネ)大統領府」が介入したという疑惑が解消されていない点▽経営陣・幹部陣が罷免された権力の「代理人」として、ろうそく・弾劾局面で放送の公正性を崩し公営放送の信頼度を落としたこと▽批判的な声を上げる記者・PDなどに対する不当懲戒に専念したことの責任を問うこと。つまり公営放送内部の「積弊清算」が目的なわけである。 退陣要求を受けている人々は皆、全国言論労組が去年12月と今年4月の2回に分けて発表した「朴槿恵政権の言論掌握の加担者名簿」に含まれている。裁判所は、2012年のMBCストライキと関連した1・2審の判決で「公正放送要求」が公営放送構成員の正当なストライキ事由であると判断した。放送の公正性が公営放送構成員にとって重要な環境だと見たのだ。

 公営放送内部の反発には視聴者の評価も大きな影響を与えた。情報通信政策研究院(KISDI)が3月末に発表した報告書によれば、 KBS1チャンネルの視聴者評価指数は2016年11月大きく落ちる。視聴者評価指数は視聴者4万8千名余りがチャンネル別に番組満足度・品質、興味性・多様性・信頼性・公正性・公益性などの項目を評価したもので、放送通信委員会の放送事業者再許可・再承認審査に反映される。 KBS1・2 チャンネルとMBCは「公正性」の評価で民営地上波であるSBSよりも低い点数が付けられた。

■ 「天下り人事」「密室人事」を遮断するには
 「根本的・慢性的問題である支配構造改善が急がれる」という声も一緒に出ている。経営陣・理事陣を選任する手続きが変わらなければ、放送の公正性を制度的に確保することは難しいからだ。現在、KBS社長の選出権を持つKBS理事会は与党推薦7人、野党推薦4人で構成されている。MBCの大株主である放送文化振興会の理事会は与党推薦6人、野党推薦3人の構成だ。この2社の理事会が政府・与党に偏向的という批判を受け続ける理由だ。国家基幹通信社である聨合ニュースと公企業が持分の多数を占める報道専門チャンネルYTNも同じような状況だ。公営放送の社長・理事陣を選任する過程で毎回「天下り人事」疑惑が持ち上がるのは、他でもないこうした構造のせいである。

 そのため去年7月、共に民主党のパク・ホングン議員など当時野党3党の議員162人は「言論掌握防止法」と呼ばれる放送法・放送文化振興会法などの改正案を発議した。しかしこの法案は当時セヌリ党(現自由韓国党)と放送通信委員会の反発でまともに論議されないまま、国会の所管常任委員会である未来創造科学放送通信委員会(未放委)に係留中だ。言論掌握防止法は公営放送理事陣の推薦の割合を与・野党7対6に改編して、社長選任などは特別多数制(理事陣3分の2以上の賛成)を導入する内容が核心である。共に民主党はまず6月の臨時国会で野党との合意に努力するものと見られる。共に民主党のカン・フンシク院内代弁人は「今回の臨時国会で共通公約と合意可能な内容を重点的に成立させる計画だ。言論掌握防止法に民主党は意志を持っているが、野党との合意可否が重要だと思われる」と述べた。

 韓国放送学会メディア制度改善研究特別委員会の委員長を務める嘉泉大学のチョン・インスク教授(新聞放送学)は「公営放送の支配構造改善が急を要するという点は言論学者たちも進歩・保守を問わず同意する内容だ。公営放送の社長の任期保障も重要だが、制度改善がまともになされた上ですべきことだ」と述べた。

キム・ヒョシル記者  (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6/7(水) 18:00
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