ここから本文です

立山小型機墜落、原因究明険しく 生存者なし、フライトレコーダー搭載せず 

6/7(水) 0:39配信

北日本新聞

■安全委、初動調査を終了

 長野県の4人が死亡した北アルプス・立山連峰の小型機墜落事故で、国の運輸安全委員会は6日、事故機を所有する新中央航空の松本運航所(同県松本市)の関係者らに聞き取りを行い、3日間の初動調査を終えた。今後は実地調査など必要な証拠集めをし、1年後をめどに原因について報告書をまとめる。ただ、生存者はなく、フライトレコーダー(飛行記録装置)も搭載されておらず、究明は困難が予想される。

 運輸安全委の航空事故調査官2人は午前10時前、小型機の目的地だった長野県の松本空港を訪れ、空港や新中央航空(本社・茨城県龍ケ崎市)の関係者に聴取。同社のパイロットで、事故機の機長だった木下孝雄さん(57)の経歴や最近の飛行記録、機体情報などを調べた。運輸安全委によると、この日で初動調査は終了し、報告書にまとめる作業に入っていく。

 ただ、日野和男主管調査官は「あくまで周辺情報を集めた。原因に行き着くことはなく、さらなる調査が必要」と述べた。険しい山岳地帯にある現場での調査ができておらず、事故機の詳しい飛行ルート解明につながる決定的な証拠はそろっていないという。

 同社によると、飛行記録を保存するフライトレコーダーは搭載されていない。日野調査官は5日に富山県警ヘリで上空から現場や周辺を確認した際も、証言できる生存者がいないため「機長たちがどこを飛ぼうとしたかはもう分からない」「事故現場の当時の気象情報を得るのは厳しいだろう」などと語り、調査の難しさをうかがわせた。「現地調査はしたいと思っているが、地形や雪の問題もあり、今後の課題」と話している。

 事故は3日午後、長野県の4人が乗った小型機が富山空港から松本空港に向かう途中で発生。獅子岳山頂から南東へ約600メートル離れた標高約2300メートルの雪渓に墜落し、全員が死亡した。

■救難信号受信せず

 墜落した小型機の機体に搭載された航空機用救命無線機(ELT)による救難信号が事故時に受信されなかったことが6日、国土交通省などへの取材で分かった。ELTが作動せず、発信されなかった可能性がある。

 国交省によると、ELTは機体に強い衝撃が加わった場合などに救難信号を自動的に発信、海上保安庁のシステムが受信し国交省が位置などを解析する装置。

 航空機への搭載が義務付けられており、機体を所有する新中央航空によると、小型機では後部座席の後ろに設置されていたが、墜落後もシステムは受信しなかった。同社の関係者などによると、何らかの理由で当初から救難信号を発信できる状態ではなかったか、事故の強い衝撃で損壊して発信されなかった可能性が考えられるという。

■石井国交相「再発防止を」

 石井啓一国土交通相は6日午前の会見で、小型機の墜落事故について「お亡くなりになられた方々のご冥福を、心からお祈り申し上げたい」と述べた。

 原因究明に向け、運輸安全委の調査官2人が現地で調査していることを説明。国交省として、小型機を所有する新中央航空(茨城県龍ケ崎市)に対し再発防止を呼び掛けるとともに「運輸安全委の結果を踏まえ、必要な対応を図っていく」と話した。調査期間は現段階で「未定」とした。

北日本新聞社

最終更新:6/7(水) 0:39
北日本新聞